2004 Fiscal Year Annual Research Report
看護支援システムによる看護診断導入効果の定量的評価
Project/Area Number |
16592105
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
倉島 幸子 新潟大学, 医学部, 助手 (30161730)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤澤 宏平 新潟大学, 医歯学総合病院, 教授 (10175771)
鳥谷部 真一 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教授 (20227648)
|
Keywords | 看護支援システム / 看護診断 / 正確性評価 / 正確度評価尺度 / 無作為化臨床試験 |
Research Abstract |
本年度は、看護支援システムによる看護診断が正確に行えているが無作為化臨床試験を実施し、客観的に評価するデータを得て解析を行った。 1)看護診断の正確性を評価するための評価試験実施:(1)看護診断評価試験用の紙上患者は、Margaret Lunney著「Critical Thinking and Nursing Diagnosis-Case Studies & Analysis(事例に基づく看護診断の正確性の検証)」より2事例を選択し、ケース1(内科系)、ケース2(外科系)とした。(2)看護診断の評価試験を受けることに同意した看護師42名を、無作為にAとBの2群に振り分け各群21名ずつとした。(3)評価試験はクロスオーバー方式により、A群はケース1をシステム使用、ケース2を手書きで診断、B群はケース1を手書き、ケース2をシステムで診断を行った。(4)評価尺度は(1)看護診断名を正解したかどうか、(2)回答時間(分)(3)ラニーの正確度評価尺度、を用いた。(5)各個人の年齢、性別、所属科(内科系か外科系か)、経験年数、最終学歴(専門学校、短大、大学、大学院修士)を従属変数とした。 2)看護診断名の正答率および回答時間:A群は、システム使用によるケース1の診断正答率は48%で回答時間は28分、手書きによるケース2の正答率は52%で回答時間は36分であった。B群は、システム使用によるケース2の診断正答率は43%で回答時間は30分、手書きによるケース1の正答率は29%で回答時間は46分であった。この結果より、ケース1では看護支援システム使用による診断名の正答率は手書きより高いが、ケース2の場合は手書きによる診断の正答率が高かった。回答時間はシステム使用の方が手書きよりも短いことから、診断に要する時間が短縮でき効率的であるといえよう。 3)統計解析による2群間の差の検定:(1)A群・B群で年齢と経験年数に差はなく(Mann-Whiteney検定)、性別・所属・最終学歴にも有意差はなかった。(χ二乗検定)これより、A群・B群は同じ背景であると考えられる。(2)A群・B群の正答率には差がなく(ケース別に層別化したMantel-Haenszel検定)、経験年数で層別化したA群、B群の回答時間においても差はなかった。(二元配置分散分析)。したがって、経験年数は正答率および回答時間に大きな影響を与える因子とならなかったと思われる。(3)正答に寄与する因子について、ロジスティック回帰分析(ステップワイズ法)を行った結果、有意な独立変数がなかったため、正答に影響を与える因子は特定できなかった。(4)今後は看護診断名を正答した回答用紙を対象に、ラニーの正確度評価尺度(診断と事例の手がかりとの一致度を採点)により、さらに看護診断の正確率を評価することが必要である。
|