2005 Fiscal Year Annual Research Report
Work Ability Modelを用いた看護職者の労働能力改善方法の開発
Project/Area Number |
16592121
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Research Institution | Gifu College of Nursing |
Principal Investigator |
奥井 幸子 岐阜県立看護大学, 看護学部, 教授 (30214050)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 千津子 岐阜県立看護大学, 看護学部, 教授 (50209946)
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Keywords | 労働能力 / 労度能力指標 / 看護管理 / 人材育成 / ゆとり |
Research Abstract |
本研究は,Work Ability Index(WAI:フィンランド国立産業保健研究所開発)日本語版により把握したわが国の看護職者の労働能力が諸外国に比較して低く,ゆとりのなさによる心身の疲労回復困難と,これを要因とする自己評価の低下によると推測された前研究結果に基づき,Work Ability Modelを枠組みとして,ゆとりのなさをターゲットとした介入を行い,労働能力を高める方法の開発を目的としたものである. 活動としては,働きやすい職場づくりをめざすA大学病院の看護部長,師長等有志とともに1回/1〜2月の検討会を開催し,現状分析に基づく具体策の検討を行ったうえで,ゆとりの必要性の啓蒙,業務の整理と差別化,特別休暇制度の設定等,部署ごとに独自の方法でゆとりを産み出す試みを行った.また,活動評価と発展のためWAI開発者等と活動報告会を行い,介入の妥当性を高めてきた. 以上により,多くの部署ではゆとりの必要性が理解され工夫が実践された.しかしゆとりを産み出すことが困難であった部署もあり,すでに思いつく限りの方策がとられ新たな改善策が発想されない状況にある一方で,これらの努力が認知されない環境にあると推測された.また看護組織による改善のための管理的介入を認知していなかったり,「ゆとり」の表現に抵抗を感じる部署もあった.これらから,看護組織全体としての課題の共有と,これに基づく管理的介入およびその周知が不足している可能性が示された.WAI得点の推移としては,開始時と終了時とで有意な差は認められず,活動が看護職者全体の労働能力向上に反映できたかどうかは不明であった. これら本研究により,看護現場においてゆとりを産み出すいくつかの方法を開発し,Work Ability Modelを枠組みとした活動に伴う課題を明確にすることができた.今後はこれらの課題に取り組みながら労働能力を維持向上させる具体的な方法を開発していく必要があると考える.
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