2006 Fiscal Year Annual Research Report
変革期における看護職ミドルのキャリア開発に関する研究
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16592122
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
小寺 栄子 (加納川 栄子) 静岡県立大学, 看護学部, 教授 (20233918)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡會 丹和子 秋田大学, 医学部, 教授 (10220948)
東川 佐枝美 静岡県立大学, 看護学部, 講師 (60290186)
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Keywords | 中年期看護者 / キャリア発達 / 経験からの学び / キャリア開発課題 |
Research Abstract |
平成16年〜17年の結果より、看護者の経験の積み重ねの意味を捉えるためには、本人にとっての経験の意味を解釈し、個人が自分自身の経験を意味づけの様相を捉えることが必要であることが分かった。 この結果をもとに、本年度は、S県内の200床以上の総合病院に勤務する中年期(40〜55歳)のハイフライヤー看護者279名を対象として、彼らが臨床の看護体験を積み重ねる中で、どの様な「一皮むけた体験」を経験し、それらから何を学んだのか、それらが彼らのキャリア発達にどの様な意味をもっているのか、また自己の看護実践能力の評価と職業意識について明らかにするためにアンケート調査を実施した。また全国の300床以上の総合病院の看護管理者261名を対象として、中年期の看護者への期待と看護実践能力の評価、そして中年期の看護者のキャリア発達上の問題点と課題を明らかにするために質問紙調査を行った。 その結果、中年期の看護者の成長に影響を及ぼした経験として、「患者・家族との関わり」、「患者・家族からの学び」、「患者・家族からの承認」、「患者・家族からの苦情や拒否」、「患者の急変と死」、「ターミナル患者との関わり」など、患者や家族から得られた学びが最も多かった。また職場の役割の変更などを伴うものとしては、「昇進・昇格」、「勤務異動」「職場異動」、「新たな状況への対応」、「新たな役割の付与」、「勤務異動」が、仕事上の問題を抱えたものとしては、「仕事上の困難に遭遇」、「仕事上のミスや医療事故」があった。また職場内の人間関係に関するものについては、「職場内の人間関係の困難」、「上司からの支援」、「先輩・同僚からの支援」、「他職種との関わり」、「学生指導」、「後輩指導経験」があった。また看護師個人の経験としては、「家族の死」、「妊娠・出産・育児体験」、「自己の病気体験」、「研修参加」、「進学」などが見られた。いずれも体験をどの様に受け止め、学びにしていくかは個人の解釈により異なっていた。実践能力と職業意識については主任とスタッフ間に有意な異が認められた。 管理者への調査の結果、中年期のキャリア発達では施設による差異が大きいこと、個人差が大きく意欲的な層とそうでない層の二極分化の傾向があることが分かった。またキャリア開発上の課題は、中年期に対する教育支援プログラムの未整備、意欲をもってもらうための動機付けの難しさなどがあげられ、今後の課題が多いことが明らかになった。本年度の結果と、過去2年間の結果から、看護者の経験の積み重ね方と語りの意味づけの重要性と学びをもたらす経験の特徴を生かした看護職のキャリア開発のあり方と、中年期の看護者のキャリア支援のあり方について提案して報告書としてまとめた。
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