2005 Fiscal Year Annual Research Report
感染症アウトブレイクにおけるQOL向上を目指したケアスキルと教育プログラムの開発
Project/Area Number |
16592134
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
三橋 睦子 久留米大学, 医学部, 助教授 (50289500)
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Keywords | 感染症 / 感染防御具 / パーソナルスペース / 清拭 / リスク認知 / SARS |
Research Abstract |
感染防護具における身体・心理面への影響調査の実験結果 実験I【目的】感染防護具着用が医療従事者の印象に及ぼす影響と事前情報との関連性解明【被験者】大学生83名【方法】白衣の看護師2名と医師1名のモデルに接近し、パーソナルスペースを測定。距離、心拍数、瞬き回数を計測。DVD視聴後、感染防御具を着用した同モデルで再度測定。DVDはSARS、SARSと感染防御、マザーテレサ(統制群)の3種類を作成。【結果】(1)平均年齢21.3±(4-1)歳。男32名女51名。(2)防御具装着により対人距離は拡大し、心拍数と瞬きは減少した(P<.05)。対人距離は情報(DVD)の主効果を認め(P=.0478)、統制群(158.7±17.Ocm),SARS群(204.5±16.8cm),感染防護群(217.1±17.9cm)と拡大。(3)インフルエンザの恐ろしさ因子は、防護具着用で上昇し(p=.002>、統制群(3.7±0.2),SARS群(4.4±0.2),感染防護群(5.1±0.2)と高かった(p<.001)。未知性因子得点は低下(p<.001)。SARSリスクは、防護具により恐ろしさ因子得点低下(p=.0003)。(4)医師の活動性得点は防護着用で上昇(p=.0451)、看護師の杜会的望ましさは低下(p=.0054)。【結論】(1)防護具着用は、対人距離を拡大し個体距離としては不適切であった。看護師に対する好意の低下、感染症リスク認知の変化が要因と推測。(2)今後情報提供の内容検討が課題である。 実験II【目的】感染防御具着用の看護師における清拭の身体・精神面への影響解明【被験者】A病院看護師30名【方法】白衣の看護師と防護具着用の看護師により2回の清拭を行う。調査項目: YG性格検査、感染症に対する知識とリスクイメージ、POMS短縮版、他者認知尺度、快適感(VAS)。計測項目:前頭部深部温度、胸部表面温度、脈拍、血圧、酸素飽和度、呼吸回数、HF成分、LF/HF、R-R。【結果】(1)平均年齢26.0(±6.2)歳。男2名女28名。(2)感染症リスクイメージは全て差がなかった。気分の全ての下位項目は、前が高く清拭後低下(p<.001)。活気のみ防護具の主効果を認め、防護衣の方が低下(p=.036)。活動性と個人的親しみおよび快適性得点は防護衣の方が上昇(p<.05)。(3)深部温、表面温、収縮期血圧、HF成分は清拭後上昇し(p<.05)、心拍数と呼吸数、LF/HF、R-Rは低下した(p<001)。【結論】(1)身体面および気分や快適感、自律神経の変化から、防御衣・白衣ともに清拭によるリラクセーション反応を認めた。(2)リスクイメージおよび看護師へのイメージでは、被験者を看護師としたことによるバイアスが推察された。(3)今後医療関係以外を対象とした実験の再検討の必要性が示唆された。
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