2005 Fiscal Year Annual Research Report
Death-Educationのため具体的方略の実践・評価(その2)
Project/Area Number |
16592136
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
岡田 洋子 旭川医科大学, 医学部, 教授 (90281906)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 予史季 旭川医科大学, 医学部, 助手 (20322901)
茎津 智子 天使大学, 看護栄養学部, 助教授 (10177975)
井上 由紀子 日本赤十字北海道看護大学, 看護学部, 講師 (00320557)
井上 ひとみ 石川県立看護大学, 看護学部, 講師 (50295169)
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Keywords | Death-Education / 死の概念 / 認知的発達 / 小学生 / 中学生 / ピアジェ / 評価 / 日本 |
Research Abstract |
16年度において、学年が進むに従って死を可逆的に捉える傾向の増加がみられ、子どもの「死の不可逆性」の理解に「変化」あるいは「混乱」が生じていることが示唆された。 そのため17年度は、特に中学生のデータに着目し、「死の不可逆性」の理解に影響する要因・背景について分析を重ねた。その結果、Death-Educationをとおして、命の大切さを再発見するとともに、個としての命の存在から、他者との関係性や命の複雑さへと広がりが見られた。具体的には「生まれたときから体の不自由な人」「病気で苦しんでいる人」「生きたくても生きられないで死んでいく人」の存在を知らなかった自分に気づき、自分の中に命を軽視していた部分を発見している。健康に生まれ、勉強(成績)が唯一であるかのような価値社会で生活する中学生にとって、生まれた時から障害を有し、入退院を重ねながら成長してきた同年齢のU君の体験・命に対する思い・自他の命を粗末にしている同年代への投げかけは、深く・重く響いたことがDeath-Education前・後のレポート内容から確認できた。近藤らは、「いのちの教育」の重要な時期として、小学校高学年10歳から中学校14・15歳の段階を挙げている。この時期は、自分は何のために生きているのか、生きるとは・・・、人間とは・・・等々根源的な問いに対して自問自答する第二の誕生期と言われる。これらの問いに自分なりの答えが見出せず、問題を棚上げしたまま日々生活している生徒も居る。学年が進むに従って死を可逆的に捉える傾向が増し、「死の不可逆性」の理解に「変化」あるいは「混乱」が生じていることが危惧されている背景には、バーチャルな体験が増加する一方、実体験の機会の減少といった現代社会において、中学生になっても根源的な問いに答えを見出せず棚上げ状態で生活している姿が推察される。 18年度は、引き続き死の不可逆性に着目しつつ中学生と直接語り合う方法も取り入れDeath-Educationの指針および方略の開発・実施・評価を重ねていきたい。
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Research Products
(5 results)