2004 Fiscal Year Annual Research Report
多胎児を出産した母親の心理的健康と心理・社会的援助のあり方に関する研究
Project/Area Number |
16592138
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
常盤 洋子 群馬大学, 医学部, 助教授 (10269334)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土江田 奈留美 群馬大学, 医学部, 助手 (60334108)
中島 久美子 群馬大学, 医学部, 助手 (50334107)
國清 恭子 群馬大学, 医学部, 助手 (90334101)
矢野 恵子 三重大学, 医学部, 助教授 (10174559)
水野 治久 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (70093317)
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Keywords | 多胎妊娠 / 多胎児出産 / 不妊治療 / 心理的健康 / 出産体験の振り返り / 出産体験の物語 / 心理・社会的援助 / 育児ノイローゼ |
Research Abstract |
多胎妊娠は母子にとって身体的、心理的リスクが高く、育児負担による育児ノイローゼや両親による虐待などの社会的問題も指摘されている。多胎児を出産した母親への援助では、出産直後から育児期にかけて変化する母親の心理的健康状態と複数の子どもの育児状況に応じて必要とする援助の内容が異なることを考慮する必要がある。どのような時期にどのような内容の援助を誰に求めるのか、自分では解決できない問題を誰にどの程度求めるかを知ることで母親の心理的健康と育児状況をふまえた効果的な心理・社会的援助のあり方を見いだすことができると考える。そこで本研究では、少子化・高齢化の続く中、不妊治療の成果がますます期待されている現状をふまえ、多胎児を出産した母親の心理的健康に対応した効果的な心理・社会的援助のあり方を検討し、援助モデルを考案することを目的とする。 平成16年度は多胎児を出産した母親の出産体験の物語を構成する要素を明らかにすることを目的に不妊治療によって多胎妊娠と診断された妊婦5名を対象に半構造的面接を実施した。面接の実施にあたっては、(1)調査の同意が得られる、(2)妊娠後期と産後2〜3日の面接調査に協力が得られる、(3)面接内容をカセットテープレコーダーに録音すること、また、個人が特定されない方法で研究論文に掲載されることに協力が得られる、という3っの条件を設定し、すべての条件を満たしたケースを対象とした。 不妊治療を受けて多胎児と診断された母親の出産に向けての心理では、二人の子どもが無事生まれてくるかという心配に関する内容と緊急帝王切開になるリスクが高いことについての心配に関する内容が多く聞かれた。出産体験の振り返りでは、対象者全員が不妊治療を受けるに至った経緯から話をはじめており、不妊治療によって多胎児を出産した母親の出産体験の物語を構成する要素として、不妊治療に至る経緯、不妊治療に対する夫婦の気持ち、不妊治療中の夫の対応と夫以外の家族の対応が含まれることが明らかにされた。
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