2005 Fiscal Year Annual Research Report
看護職の連携による子ども虐待予防・早期発見・対応プログラムの開発
Project/Area Number |
16592142
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
楢木野 裕美 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (90285320)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 敦子 福井県立大学, 看護福祉学部, 教授 (50196789)
三輪 眞智子 浜松医科大学, 医学部, 教授 (10320996)
鎌田 佳奈美 大阪府立大学, 看護学部, 講師 (30252703)
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Keywords | 子ども虐待 / 対応プログラム / 看護職 / 機関連携 / 院内連携 |
Research Abstract |
今年度の予定は、質問紙調査の分析を進めることおよび虐待対応プログラムの基本形を試作することであった。 調査について:子どもを有する病棟をもつ500床以上の病院および小児専門病院を抽出し、病棟管理の立場にある看護師378人を対象にした質問紙調査では、看護職168人から回答を得た。対象者の病院は一般病院61.9%、高機能病院26.2%、小児専門病院6.0%で、その43.5%が混合病棟、39.3%が小児病棟であった。虐待の病院内システムがあるのは40人(23.8%)で、システムのメンバーは医師(90.0%)、看護師(82.5%)、MSW(67,5%)、事務職(42.5%)であった。活動内容は事例検討(65.0%)、実働サポート(55.0%)、関係会議(50.0%)、マニュアル作成(40.0%)で、40.0%が定例会議をもっていた。病棟内看護職間の連携では、記録形式は95.5%が他児と同じものであり、記載内容は一般状態(96.4%)、被虐待児と家族との関係(91.1%)、被虐待児の言動(87.5%)は多かったが、看護師の被虐待児への関わり(70.5%)、家族への関わり(70.0%)はやや減少した。「定例でカンファレンスを行っている」は28.6%で、「問題があったときのみ」が51.8%であった。産科病棟・外来・保健所から小児病棟への連携では、虐待または虐待のリスクにより小児病棟に入院したのは、産科病棟からが25人、外来115人、保健所26人であり、うち連絡があったのは24人(96.0%)、109人(94.8%)、22人(84.5%)であった。連絡はいずれも看護職からが多いが、外来は医師からの連絡が27.5%あった。病棟側で連絡を受けているのは、産科病棟と外来からの連絡は看護職が多いが、保健所からの連絡は27.3%が医師であった。連絡方法は、産科病棟と保健所からは半数がサマリーなどの書式を活用していたが、外来からの連絡は76.1%が口頭であり、その内容も「虐待である」との事実のみが36.7%にも及んでいた。一方、小児病棟から報告したのは25人中17人(68.0%)であった。子どもが退院する時、外来へ連絡が必要と感じた91人中、実際に連絡をしたのは70人(76.9%)、保健所へ連絡したのは66人中54人(81.8%)であった。看護職に直接連絡をしたものが多いが、保健所への連絡では看護職独自の判断でしているものは少なかった。産科病棟と保健所への連絡は口頭が多く、外来へは文書を活用していた。 保健師対象の調査では、当初は量的調査を予定し進めていたが、看護職間の連携をシステムとして機能しているところが殆どない状態であった。そこで、質的研究で保健師に対して面接をし、連携に対する認識と現状、課題に対する聞き取り調査を実施している。地域(保健所)から病院、病院から地域への連携調査と分析を重ねているところであり、地域による格差がみられている。 虐待対応プログラムの基本形の試作:病院における調査を中心に、保健師調査は現在調査・分析中であるがその結果も踏まえ、虐待対応プログラムについて検討しているところである。
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