2005 Fiscal Year Annual Research Report
双生児家族への妊娠期から育児期早期における看護介入方法の開発と評価
Project/Area Number |
16592160
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Research Institution | Gifu College of Nursing |
Principal Investigator |
服部 律子 岐阜県立看護大学, 看護学部, 教授 (70273505)
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Keywords | 双生児 / 多胎妊娠 / 育児ストレス / 子どもの発達 |
Research Abstract |
生殖補助医療の普及に伴い、双生児を養育する家庭が増加している。双生児の母親は、実際にこなす仕事量が多く疲労感が高いことが指摘されており、双生児の母親において育児不安は高い傾向にあることが推察される。母親のこのような心理的ストレスは、児と母親の愛着形成の阻害因子となる可能性があり、児の身体的・精神的発達に影響すると考えられる。よって、双生児の母親の育児不安が双生児の発達にどのような影響を与えるかを検討することを目的とする。双生児(0〜2歳)の母親については、近畿圏の育児サークルを利用する者に無記名の自記式質問紙を郵送もしくは配付し110名(回収率56.1%)の回答を得た。単胎出生児(0〜2歳)の母親については、近畿圏の保育園と乳幼児健診に集まった者から同様の方法により95名(回収率26.5%)の回答を得た。双生児の解析対象は脳性まひと在胎週数32週未満の児を除く107組とした。双生児、単胎出生児の月齢は20.8±9.9ヶ月(Mean±SD)、18.6±9.2ヶ月であり性別とともに有意差はみられなかった。調査項目は児の既往歴、乳幼児精神発達(津守・稲毛式)、家庭環境、母の郊娠と出産時の状況、育児不安(子ども総研式)などである。育児不安(子ども総研式)は各年齢により6〜8領域からなる。このうち「育児困難感1」は育児に対する心配や不適格感を示し、「育児困難感2」は子どもに対するネガティブな感情や攻撃・衝動性を示す。これらは、高得点でその傾向が強いことを意味する。育児不安についてはt検定を用いて比較した。1歳と2歳において「育児困難感1」「育児困難感2」の平均点は双生児の母親の方が単胎出生児より有意に高かった(p<0.05)。発達に及ぼす影響については、修正月齢をもとに発達指数(DQ)を算出してDQ90未満であるもの(双生児ではペアのどちらかが90未満であるもの)を低DQ群とし、これを従属変数としてロジスティック回帰分析を行った。独立変難は、単変量解析でp値が0.05未満であった変数とした。この結果、2歳の双生児(n=45)において母親の「育児困難感1」の得点が高くなるにつれ、低DQ群である者が有意に多かった(OR=1.4,95%CI 1.1-1.7,p<0.01)。単胎出生児では育児困難感と発達の関連性はみられなかった。
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