2006 Fiscal Year Annual Research Report
神経難病患者の発病から退職に至るまでの就業中の経験に関する質的研究
Project/Area Number |
16592180
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
秋山 智 広島国際大学, 看護学部, 教授 (50284401)
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Keywords | 神経難病看護 / ライフヒストリー / 産業保健 / 就業 / 退職 |
Research Abstract |
本研究の目的は、神経難病患者の発病から退職に至るまでの就業中の経験の総体について明らかにし、産業保健の視点から看護上の示唆を得ることである。 本研究は対象者のライフヒストリー中において、自身の神経難病の発病、確定診断、症状の進行、そして退職に至る経過の中で対象者が経験した「就業(職業)に対する行動や経験」について概念化し、その総体を解明する因子探索レベルの研究である。 今回、神経難病患者の中でも特に若年性パーキンソン病患者に焦点を当て、約20名の対象者にインタビューを繰り返しているところである。それは、同じパーキンソン病でも、若年者には高齢者とは違って現役世代として特有の問題があるからである。年齢、罹患期間、症状、社会保障、経済面、就業歴、患者交流など、様々な視点での生活背景を元に、就業中の経験について整理していることろである。 1.若年患者は、特に職業面、経済面で多くの問題を抱えていた。その傾向はとりわけ一家の主である男性や未婚女性に強かった。 2.患者交流がQOL維持に大きな影響を及ぼしていることが推察された。 3.SEIQoL-DWの値はライフヒストリーをよく反映しており、この調査法は、ナラティブの書き換えにも影響を及ぼすであろうことが示唆された。 仕事との関係などから、疾患の隠蔽に関しては多くの人に大なり小なり経験があった。難病者はやがて退職せざるを得ない状況になったり、またそうでなくとも仕事の種類や内容を変更したりなど、何らかの変化が避けられない場合が多い。難病者であっても、安心して仕事のできる社会が強く望まれる。
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