Research Abstract |
本研究は,夜間介護が家族介護者の血圧動態と疲労に及ぼす影響を明らかにすることを目的としている。 今年度は,これまでに収集した100名の家族介護者の24時間睡眠状況,24時間血圧日内変動,および疲労感の横断データを統計解析して,これらの実態を明らかにして関係性を分析した。その結果,高齢の家族介護者の多くに,高血圧の既往がない者においても高血圧の危険性があることが明らかになった。また,女性介護者の降圧剤の非内服者で血圧値の高い者と降圧剤の内服者において,睡眠時間と血圧日内変動と疲労感の関係が示唆された。 睡眠,血圧動態,疲労感への影響要因を明らかにするため,横断調査を行った100名中,3年を経た81名において追跡調査を行った。81名中,3年後の情報が得られた者は67名で,そのうちの入院2名と死亡1名を除いた64名に追跡調査を依頼した。64名中,在宅介護を継続していたのは24名だった。追跡調査を実施できたのは33名であり,33名中,在宅介護の継続者は14名,在宅介護の終了者は19名だった。同一者の3年後の変化を解析した結果,3年後は仮眠時間と24時間の睡眠時間が長くなっており,特に在宅介護を終了した者は疲労感が軽減していた。 家族介護者と要介護者の16事例において,24時間睡眠状況を同時に調査して比較解析した結果,家族介護者の睡眠には要介護者の睡眠の影響が大きいことが示唆された。 前年度に実施したおむつ交換動作時の主動作筋の筋活動量の測定結果を解析した結果,左右の脊柱起立筋とハムストリングス筋の活動量を明らかに示すことができた。 今後は,これらのデータについて様々な視点からさらに詳細な分析を行い,同一者の追跡調査と要介護者の睡眠に関する調査を継続し,筋活動量のデータを蓄積していくことで,家族介護者の心身の健康を維持できる在宅での介護方法を明らかにしていきたいと考えている。
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