2005 Fiscal Year Annual Research Report
看護実践に生かすシャーマンにおける「癒し」のメカニズム
Project/Area Number |
16592205
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Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
藤井 博英 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (60315538)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 春江 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (00315540)
角濱 春美 青森県立保健大学, 健康科学部, 助教授 (30256359)
村松 仁 青森県立保健大学, 健康科学部, 講師 (50303433)
中村 惠子 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (70255412)
坂井 郁恵 青森県立保健大学, 健康科学部, 助手 (10404815)
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Keywords | 民俗信仰 / イタコ / 外来看護師 / 慢性疾患患者 / 癒し / エンパワーメント / コンプリメンタリーセラピー / 精神保健 |
Research Abstract |
現代医療には、「やまい」を持った時に生じる不安や苦悩への対処ケアが不足していると言われている。青森県地方では、それをシャーマンが補完している実態がある。本研究の目的は、シャーマンのもたらす"癒し"の実態から看護実践に還元できる内容を抽出することである。 そこで、いたこのA氏に対して相談内容や、役割についてインタビューを行った。利用者は、病気治療にかぎらず、ふりかかった不幸や災いなど人生の問題場面に幅広く相談していた。それらの相談にイタコは、"口寄せ"により対処し、問題の因果応報を判断して、指示的に関わり行動化させることで"癒し"をもたらしていた。 さらに、シャーマンを訪れた経験のある外来患者に対して、シャーマンがもたらす"癒し"について半構成的インタビューを行った。その結果、「対処方法を教えて欲しい」「原因が霊的なたたり、障りでないか判断して欲しい」と望み、「めどが立つ(見通し)」「前向きになれる」「やる気になる」「腹をくくる」などの心情の変化を体験していた。患者の「前向きになれる」「やる気になる」など、力を蓄え、発揮させるというエンパワーメントが行われていた。 また、これらに関わる外来看護師に"癒し"について半構成的インタビューを行った。その結果、患者が「癒される」感情を<ホッとする><安らぎ><安心><和む><リラックス>などと捉えており、この対応として<傾聴的な態度><患者に寄せる関心><自己(患者)の存在の承認><その人らしい日常生活が送れるサポート>など行っていた。 シャーマンの"癒し"は、ある程度行動を強制することにより「力を与える」方向に、一方ナースは、患者の心情を受け入れ保障する方向に関わっており、患者の必要としている"癒し"は、その両者を含んでいるのではないかと考えられる。
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