2005 Fiscal Year Annual Research Report
頭部外傷者と家族の生活障害に関する評価のリハビリテーションへの活用
Project/Area Number |
16592224
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
式守 晴子 東海大学, 健康科学部, 教授 (00298457)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 和子 東海大学, 健康科学部, 教授 (10297228)
堀越 涼子 東海大学, 健康科学部, 助手 (00384917)
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Keywords | 脳外傷 / 認知機能 / 家族 / 看護支援 |
Research Abstract |
平成16年度の頭外傷者とその家族の生活障害に対する主観的認識に関する9事例調査のデータの分析を前年度に続き行った。 その結果、構造的面接で調査した生活上の困難63項目からは、本人の認識と家族の認識とでは統計的に有意差はなかった。また、生活上の困難と、認知機能レベルとの関連も認められなかった。 しかし、次のような傾向が認められた。 (1)本人が主観的に困難と捉える問題の特徴は、他の人より劣っているなど不全感や孤立感など感情面であった。 (2)家族が捉える生活上の困難は、記憶、計画をたてるなどの実行機能に関連した問題であった。 (3)本人と家族が共に生活上の問題と捉えていたのは、記憶、「なにをするにも努力が必要」という注意機能、実行機能に関連するものであった。 (4)今回の調査であがった家族が感じる困難な問題として、他者への関心の欠如などがあがった。 これらの結果に加えて、国際生活機能分類を参照し、63項目を見直し、50項目の生活評価表を作成した。これは一般的な課題と要求、学習と知識の応用、コミュニケーション、家庭生活などに加えて、感情、評価の項目からなる。 作成した生活評価表を用いて、家族と頭部外傷者本人それぞれに現在の本人の状況を評価するアンケート調査を行った。脳外傷友の会しずおか、ナナ、及びTBIリハビリテーション研究所などの協力を得て、3月150組の本人、家族に対して送付した。アンケートの送付が遅れたのは、東海大学健康科学部倫理委員会の指示により、本人と家族個々の意思が尊重され、しかも対として結果が得られる回収方法の改善に時間が費やされたためである。 3月末現在の回収率は12%である。アンケートの回答からみると、生活評価表の質問は平均的な知的レベルを想定し、作成したが、対象として無作為に選んだ脳外傷のセルフヘルプグループの会員の知的障害のレベルとの間にずれがあったことが示唆され、今後の評価表を用いる対象の知的レベルをどこに想定するかが課題であることが示唆された。
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