Research Abstract |
平成17年度の研究は,自閉症のサービス提供を担っているNPOのサービス・プログラムの内容及び利用の実態を明らかにすることを目的に行われた。「応用行動分析(ABA)」では,「行動マネージメント」・「自立スキル」・「アカデミック・スキル」が「課題分析(TA)」・「断続的試行法(DTT)」により行われ,「感覚統合療法(SI)」では,「前庭系の促通」に関連した指導が「SCCIT」により行われる等,「学校における学習のための基礎的能力」がサービス・プロバイドされていた。 前年に継続し,調査研究を行った米国カリフォルニア州では,各NPO・POは,学校区との契約を基に,アセスメントの段階から各自閉症児へのサービス・プロバイドを行われていた。そのため「アセスメント-セラピー」に一貫性があり,さらに年次毎のIEPミーティングでその効果が各NPO・POの側から報告・承認されるため,各自閉症児は確実に進歩を示していた。 各NPO・POの内部では,サービスを実際にセラピストにプロバイドしているセラピストに対し,1〜2週の割合で,各NPO・POの代表者がセラピストにスーパーバイズするシステムを採用しているところが多かった。これは,NPO・POともに設立に際して,代表者が有資格者であればよく,セラピストは無資格者の場合が多いことによっている。つまり,セラピーの質を高めるための措置であるということであった。しかしながら,どのNPO・POにおいても,雇用しているセラピストはセラピーの経験を積むと独立して自ら開業していく場合が多く,代表者は質の高いセラピストを雇用し続けることに困難さを共通の悩みにしていた。西宮YMCA所長は,発達障害へのサービス提供を行う指導者を養成しても高い賃金を支払うことが運営上困難であり,養成した指導者を確保することが難しいという悩みを抱えていたが,カリフォルニアにおけるセラピストの流出は,セラピストの側は最初から「独立のための経験を積むため」というキャリアのための就職であり,賃金の安さから生活が困難であるという日本のサービス提供機関とは離職の理由が異なっていた。 一方,NPO・POによるサービス・プロバイドを利用している自閉症の側からみると,収集した16人のIEPでは,「応用行動分析(ABA)」,「言語聴覚療法(ST)」,「感覚統合療法(SI)」の3つのサービスを受けているものが多かった。学校のリソースルームでサービスを受けている場合,放課後に自宅でサービスを受けている場合,自らがNPO・POに出向き,サービスを受けている場合の3つがあり,学校内のみに限っていないところが特徴的であった。
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