2004 Fiscal Year Annual Research Report
新規アポトーシス遺伝子の作用機構と臨床応用に関する研究
Project/Area Number |
16601001
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安田 修 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (00372615)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福尾 惠介 武庫川女子大学, 生活環境学部, 教授 (40156758)
清水 重臣 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (70271020)
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Keywords | アポトーシス / 平滑筋細胞 / 動脈硬化 / Bcl-2ファミリー / PTP |
Research Abstract |
我々はマウス動脈硬化プラークからPL-3遺伝子をクローニングした。PL-3は細胞にアポトーシス(細胞死)を誘導する新規遺伝子である。PL-3遺伝子にコードされるタンパク質は細胞質内のミトコンドリアに局在する。現在までに知られている細胞質内のアポトーシス関連タンパク質は共通の構造を有していることからBcl-2ファミリーと呼ばれるファミリーを形成しているが、PL-3タンパク質はBcl-2ファミリーには属さない新しいタンパク質であることが明らかとなった。そこでBcl-2ファミリーとの機能的な違いを調べたところ、PL-3によって誘導されるアポトーシスはアポトーシス抑制タンパク質として知られるBcl-xLあるいはBcl-2による抑制を受けなかった。したがってBcl-2ファミリーとは異なる経路を介してアポトーシスを誘導しているものと考えられた。またBcl-2ファミリーに属するタンパク質tBidによって誘導されるアポトーシスはCyclosporin AあるいはL-carnitineによって抑制されなかったが、PL-3によるアポトーシスは抑制された。Cyclosporin AあるいはL-carnitineはミトコンドリア上のPermeability transition pore(PTP)と呼ばれるporeが開かないように作用する。したがってPL-3はBcl-2ファミリータンパク質とは異なり、PTPを開くことによって、アポトーシスを誘導しているものと考えられた。このことはPTP構成タンパク質のひとつであるCyclophilin Dを欠損した細胞ではPL-3によるアポトーシスが誘導されないことからも確認された。以上のことからPL-3は従来知られているアポトーシス誘導タンパク質とは異なり、ミトコンドリア上のPTPを開いてアポトーシス誘導物質(チトクロームc)を放出させているものと考えられた。
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Research Products
(3 results)