2004 Fiscal Year Annual Research Report
点字を応用した絵画による美術概念の伝達の研究および作品の製作
Project/Area Number |
16602011
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Research Institution | Kyoto City University of Arts |
Principal Investigator |
石原 友明 京都市立芸術大学, 美術学部, 助教授 (60315926)
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Keywords | 点字 / 絵画 / 美術 / 触覚 / 視覚 |
Research Abstract |
1.研究課題について 美術における展示制度とそこに働く視覚メカニズムの研究と提示のため、1996年から製作・研究し続けている点字を用いた絵画作品をより深く展開するために新しい作品を制作・発表した。研究課題の中心には第一の前提として『「美」という感性的概念は言語に翻訳可能か。』という課題が横たわっているが、本研究ではその不可能性および断絶を明確にし、作品として提示することで、美術=視覚のもつ豊かな可能性を逆方向から照射することを目指す。 第二の課題として、『視覚と触覚は交換可能か。』ということについて考察、制作している。作品を製作する上では素材に触れるという「触角」が重要な役割を果たすが、「鑑賞」という制度の中では作品に手を触れることが禁じられ、「視覚」だけによって美的判断を下すことが必要とされる。当然のように受け入れられている、その視覚制度を再考し、作品において捉え直すことで新しい美的価値を提示できないか、というのが本研究のもう一つの狙いである。 2.具体的な研究と制作について 視覚と鑑賞のメカニズムの中心にあるものが「光」であるという問題設定から「光」と「色」についてのテキストを点訳し、いくつかのシリーズの作品として制作した。 これらの「暗室。」「Blind is Love.」「盲光。」という作品群はいずれも様々な素材を用いてはいるが、すべて点字のテキストによって構成されている。これらの作品を本年7月3日から8月1日まで西宮大谷記念美術館での個展で展示、発表すると同時に展覧会カタログにその成果をまとめた。その後、点字だけではなく、過去の名画の触知可能なレリーフへの翻訳を目的に光の量を高低に変換、立体化するソフトウェアと3D彫刻機を用いて、実験的に作品を製作している。これらの研究と制作を次年度も続け、成果を発表する予定である。
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Research Products
(1 results)