2004 Fiscal Year Annual Research Report
なぜ人々は物語なしに生きていけないのか-多メディアの中の物語の発生・展開・終焉-
Project/Area Number |
16602015
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
北山 研二 成城大学, 文芸学部, 教授 (90143130)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 善郎 成城大学, 文芸学部, 教授 (00146268)
村瀬 鋼 成城大学, 文芸学部, 助教授 (60279247)
木村 建哉 成城大学, 文芸学部, 専任講師 (10313181)
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Keywords | 物語 / サクセスストーリー / ナショナリズム / デュシャン / 図書館の誕生 / パッサージュ / デパート・ショツピングモール / 啓蒙 |
Research Abstract |
今年度は、理論的調査研究として先行研究を個別に蓄積し事例調査研究と交差させることになった。事例調査研究としては、まずは明治期ジャーナリズムおけるサクセスストーリー(成功物語)の初発的典型例を取り上げた。池田一彦成城大学教授を講師として迎えて、宮崎三昧が自分の妻の死の追悼文を利用して大物文学者に成り上がることに失敗した例(反成功物語としての『我亡妻』論争)の原資料の分析と集中討議を行い、日常的な物語と文学=ジャーナリズムとの起源的な結びつきが確認された。次に、映画と物語の典型的結合例としてアメリカ映画『スパイダーマン』を取り上げ、共同研究者の木村を講師として迎えて、この映画の分析と集中討議を行い、アメリカ映画におけるサクセスストーリーとナショナリズムの不可欠な役割が確認された。さらに、美術と物語の巧妙な結合と分離の典型例としてマルセル・デュシャンと現代美術の関係を取り上げ、研究代表者北山研二が講師となりデュシャンのノートとアートシーンを通して誘惑としての物語形成と物語としての美術制度破壊を分析し討議して、ノートによって物語としての美術制度を破壊するデュシャンにあっても、物語からの逸脱の困難さが確認された。予備調査研究をパリに求めて川上善郎と北山が、文化の帝国主義的管理主義制度としての物語を表象するアカデミーと図書館の発生と興隆の事例を、モダニスム的商業文化の物語的表現としてのパッサージュ・デパート・ショッピングモールの保存=現代的展開の事例を、歴史=物語の国家文化遺産の保存と啓蒙的展示空間としての美術館博物館の事例を、物語としての観光都市パリの形成の現状をそれぞれ現地研究者の協力をえて取材し共同研究を行い、歴史=物語の重要性が確認された。また予備調査として、パリ第一大学のドミニック・シャトー教授と来年度成城大学で実施する本研究のシンポジウムの諸テーマについて討議した。
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Research Products
(1 results)