2005 Fiscal Year Annual Research Report
なぜ人々は物語なしに生きていけないのか-多メディアの中の物語の発生・展開・終焉-
Project/Area Number |
16602015
|
Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
北山 研二 成城大学, 文芸学部, 教授 (90143130)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 善郎 成城大学, 文芸学部, 教授 (00146268)
村瀬 鋼 成城大学, 文芸学部, 助教授 (60279247)
木村 建哉 成城大学, 文芸学部, 専任講師 (10313181)
|
Keywords | 物語 / 冬のソナタ / 風景 / 映画 / デュシャン / 可能な世界 / サルトル / モスラ |
Research Abstract |
理論研究と事例研究を並行的に推進した。まず、「冬のソナタ」ブームの事例研究のために小川純子チーフプロデューサー(NHK)が行った報告で、人気の原因が素直な純愛物語・簡潔な映像・会話の日本語的優雅さであることを理解し、共同研究者の川上がさらなる調査の必要を確認した。次に、共同研究者の村瀬による風景と物語の関係の理論研究発表でその重要性が理解された。共同研究者の木村によるヒッチコックの『見知らぬ乗客』の事例研究発表で映像内の物語と映像外の物語の重層的交錯が確認された。秋の国際シンポジウムでは、平芳幸浩主任研究官(国立国際美術館)の事例研究「語りとしての二つのデュシャン展をめぐって」で展示方法次第で多様な物語が読まれることが確認され、北山研究代表の事例研究「描写から物語へ、ルーセル・メリエス・デュシャンの場合」で20世紀初頭に起きた描写から物語への分野横断的移行が検証され、最後にドミニク・シャトー教授(パリ第一大学)の理論研究「可能な世界--基本的物語から物語的複合性へ」で物語の原理的基準が厳密に検証され物語の意味論的基準の重要さが確認された。また同教授は日本映像学会との合同研究会の「サルトルと映画」の研究発表により映画は思想とは別な論理が働くことを報告した。北村卓教授(大阪大学)の事例研究「映画『モスラ』における楽園幻想の変容と消費---ボードレール・ゴーギャン・福永武彦」では、『モスラ』が二重の戦後文化物語の反映であることが理解された。一之瀬正興教授(成城大学)のオペラ『リゴレット』の研究報告では、それが多様な原型的物語の集積であることが確認された。最後に、北山、村瀬、木村は事前研究とパリおよび近郊の事例調査研究との比較で新たな論点獲得(風景の近代性、初期映画の分野横断性、人物=風景の視覚再発見)をし成果を確認した。また、シャトー教授と二回討論をし2006年度の計画も合意した。
|
Research Products
(4 results)