2004 Fiscal Year Annual Research Report
民族舞踊の伝承システムの現代的変容と伝統文化への影響-バリ・ラオス・日本を中心に
Project/Area Number |
16602018
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
嘉原 優子 中部大学, 人文学部, 助教授 (70333169)
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Keywords | 伝統舞踊 / 現代的変容 / バリ / ラオス / 沖縄 / 奄美 / 伝承 |
Research Abstract |
平成16年度は、ラオスのヴィエンチャン、ルアンパバン及び沖縄県竹富町で現地調査を実施した。 ヴィエンチャンでは、国立芸術教員養成学校の歴史、カリキュラムの確認と教員、生徒双方の視点からの民族舞踊の教授方法について聞取り調査を行った。現状では女子生徒が大部分を占める。そのため元来男性によって踊られた舞踊が女子に教授される場合もある。ヴィエンチャンにはラオス政府による公認の芸能団が軍隊内にある。芸術教員養成学校を経て軍隊芸能団に入隊する例もあり、また逆に、軍隊芸能団の若手隊員が舞踊習得のために養成学校に入学することもある。後者の場合、養成学校の学費は政府によって負担される。軍隊芸能団は年数回に分けてラオス国内を公演して国民に舞踊や音楽、アクロバットなどのパフォーマンスを無料で提供している。一方で、養成学校出身者が卒業後、必ずしも芸術家として活動できるわけではない。近年では、政府から場所の提供を受け、外国資本による伝統芸能公演が定期的に行われている。対象はもっぱら観光客である。古都ルアンパバンでは、やはり外国政府の援助を受けて旧王立劇場においてラーマーヤナ舞踊劇が週4回上演されている。長く途絶えていたラーマーヤナの伝統が、海外からの支援を受け復活したのである。すでに数十年も外国人観光客に向けてラーマーヤナを提供している他のアジア諸国の舞踊の動きや上演形態からの影響が少なからず見受けられたが、その詳細は今後の調査によって明らかになるであろう。 竹富島では、種子取祭の神事と奉納芸能それぞれについて、指導的立場にある人々へのインタビューを実施し、祭礼の現状を確認すると共に17年度の祭礼調査協力を依頼した。
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