2005 Fiscal Year Annual Research Report
民族舞踊の伝承システムの現代的変容と伝統文化への影響-バリ・ラオス・日本を中心に
Project/Area Number |
16602018
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
嘉原 優子 中部大学, 人文学部, 助教授 (70333169)
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Keywords | バリ:ラオス:日本 / 文化人類学 / 民族舞踊 / 伝統芸能 / 伝承システム / 現代的変容 / 信仰 / 女性 |
Research Abstract |
バリ、ラオス(特にビエンチャン及びルアンパバン)、日本(特に南西諸島及び中部地方)各地における民族舞踊の伝承システム、アジア諸民族の伝統舞踊における類似性と異質性、バリ、ラオス、日本それぞれの伝統舞踊の特性と地域文化とのかかわりについて考察し、現代におけるアジアの民族芸能の現状を提示する。研究のポイントは、「三つの伝承形態」「伝承が行われる<場>」「舞踊の<場>と<人>」の3点から見た伝統芸能の現況の把握と分析を目的とする。 まず平成17年度前半期は、平成16年度のラオス民族舞踊調査で収集した視聴覚資料の整理を行った。後期は、インドネシア、バリ州の私設舞踊団主宰者らへの活動の実態をメール等で問い合わせ、現地調査の対象を絞り込んだ。3月にインドネシア、バリ調査を実施。バリ州の国立総合芸術大学デンパサール校、ギアニャール県の国立伝統芸能教育高等学校の教員への聞取り調査を実施した。また、バリの伝統芸能教育従事者の多くがその過程で在籍経験を持つジョグジャカルタ特別州の国立総合芸術大学舞踊科のカリキュラムを確認し、それらのバリにおける影響について検討している。さらに、私設の芸能団であるギアニャール州ボナ村の舞踊団パリプルナのメンバー構成と教授形態について調べ、村落における民族舞踊伝承の形態を調査した。これまでは外国人観光客を対象とした芸能のアレンジが中心であったが、近年、続けて起こった爆弾テロなどの影響により観光業界が冷え込み、代わりに、より良い生活環境を自らの手で作り上げようといった政治的意図を込めた演目が多く作られるようになっている。このような変化は行政主導で起こったように思われるが、今後も追跡調査をする必要があろう。今後は、ラオスにおける調査結果と照らし合わせて、それぞれの民族舞踊伝承方法の特質と伝統芸能の伝承の近年における変遷と、民族舞踊伝承の現況の把握と分析を行う。
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Research Products
(1 results)