2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16602021
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Research Institution | Kyoto University of Art and Design |
Principal Investigator |
大野木 啓人 京都造形芸術大学, 芸術学部, 教授 (50368065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川村 悦子 京都造形芸術大学, 芸術学部, 教授 (00411306)
八幡 はるみ 京都造形芸術大学, 芸術学部, 教授 (50351367)
松井 利夫 京都造形芸術大学, 芸術学部, 教授 (50368057)
上村 博 京都造形芸術大学, 芸術学部, 教授 (20232796)
松原 哲哉 京都造形芸術大学, 芸術学部, 助教授 (60351368)
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Keywords | 環境デザイン / 太陽暦 / 行事 / 空間デザイン / 地域性 / 時間 / 感性 / 造形芸術 |
Research Abstract |
今年度は、定例の研究会合のほか、複数の地域での聞き取り調査と芸術実験とを並行して行った。実験的に試みられたのは、伝統的な行事の今日の住空間における再生である。特に、6月にはマンションの一室を使い、月をテーマにした茶会を催したが、ここでは、近代的な建築の中に、現代美術作家の作品を茶器やしつらいとして配することが行われた。これは月を主題とする展覧会ともなっているが、同時にまた、その場を参加にした者にとっては、個々の作品制作のプロセスにかかわる月の記憶や、茶会という作品形成に至る月暦の意識といったものが、より重要な共有物となることが認識された。また、3月には同様の実験を「月遅れの」雛祭りとして催した。これには若い作家たちも参加したが、行事全体が集合的な制作物として非常に求心力を持ちうることが実証された。他方で、さまざまな地域に残る伝統行事の聞き取り調査も並行して行われた。8月には京都府北部の美山で染織工房を訪問し、自然環境の推移と作品制作との密接で豊穣な関係をつぶさに認識した。また1月には但馬地方の年間行事と建築物を現地で調査し、また2月には、生活上、太陰暦が今日なお非常に強い影響力を持つ沖縄を訪ね、そこで年中行事や信仰と芸能や工芸の現況とについて情報を蒐集した。こうした一連の実験と調査によって、地域における表象芸術のありかたがその地の時間意識に裏打ちされていることが検証され、またひるがえって、今日ごく特殊な制作者の活動としてみなされがちな表象芸術についても、制作行為を宇宙的な時間進行を共有するという観点から捉え直すことによって大きな可能性を有することが予見された。
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Research Products
(3 results)