2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16606001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 充治 東京大学, 医科学研究所, 助手 (40332621)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 進昭 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10250341)
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Keywords | Rex-1遺伝子 / Rox-1 / ES細胞 / 未分化状態 / Nanog / 転写調節 / Creタンパク / 一本鎖DNA |
Research Abstract |
マウスES細胞の未分化状態がいかなる細胞内機構によって維持されているのかを知るため、未分化特異的に発現の見られるRex-1遺伝子の発現調節機構を中心に解析を進めた。我々はRex-1遺伝子の転写調節領域に結合する因子Rox-1を同定し、この因子の一本鎖DNAへの結合能が未分化ES細胞の分化に伴って消失することを見出した。この因子をsiRNAによって発現低下させると、Rex-1のみならずES細胞の未分化維持にとって重要な働きをになうNanogの発現にも影響が現れることから、我々はさらにNanog遺伝子の転写調節領域の解析を進め、Rex-1遺伝子同様ピリミジンに富む配列がNanog遺伝子の転写調節にとって重要であることを見出した。Rex-1、Nanog遺伝子はともに未分化特異的転写因子として知られるOct-3/4によって制御されていることが知られているが、ピリミジンに富む配列がどちらの遺伝子においてもOct-3/4の結合配列のすぐ近傍に存在していること、転写の開始には二本鎖DNAが一本鎖へ開かれることが必要であることから、Rox-1がこれらの未分化特異的遺伝子の発現制御をになう共通の分子であることが示唆された。 ES細胞の未分化状態維持にとってRox-1がどの程度重要な働きを持つのかをさらに知るため、我々はCreタンパクの発現によってRox-1を破壊することのできる細胞株を樹立した。この細胞を用いた解析から、ES細胞ではRox-1の欠損により増殖が強く抑制されるという結果を得た。また、Rox-1欠損マウスは、胎生5日付近で致死となることを見出した。 Differential hybridizationにより同定した、未分化ES細胞特異的遺伝子のひとつ、ETnのプロモーター解析を行い、ES細胞内での転写活性化に必要な領域の絞込みを行った。EMSAを用いた解析から、未分化ES細胞特異的なDNA結合活性がこの領域に見られることを見出し、転写活性化因子を精製するための条件検討を行った。
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