2006 Fiscal Year Annual Research Report
地域の特性に応じた、国際理解教育と外国語教育との統合カリキュラム開発
Project/Area Number |
16611006
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
吉村 雅仁 奈良教育大学, 教育学部, 助教授 (20201064)
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Keywords | 小学校 / 外国語活動 / 国際理解教育 / 言語意識教育 / 多言語 / 多文化共生 / 国際英語 |
Research Abstract |
国際理解教育に資する授業モデルとカリキュラムの研究に、今年度は言語意識教育の授業モデルと統合カリキュラム開発を加えた。大きく分けると次の3点にまとめられる。 1.奈良市内の公立小学校において実施した国際理解英語活動の成果を、国際学会(Association of Language Awareness)で発表し、海外の研究者から多くのコメントを得た。 2.言語意識教育に焦点を当てた1学期間の授業計画及び指導案、教材等を準備し、市内公立小学校において1学期間合計9回の授業実践を行った。 この言語意識教育活動の目標は、(1)児童のメタ言語意識の向上、(2)言語の多様性への気付きの2点であった。言語意識教育の主旨の一つが学習者の母語教育と外国語教育との橋渡しであるという理由もあり、授業実践は日本語で行われた。結果として、(1)に関しては全体として有意な向上が見られたが、(2)に関しては目立った差は現れなかった。 EUでの取り組みの報告の中で、この種の実践の効果が見られるまで35時間程度必要という指摘があることを考えれば、さらに回数を増やせば効果が現れる可能性もある。この詳しい成果発表は近日投稿予定である。 3.昨年度、今年度と実践してきた、国際理解教育と言語意識教育を組み込んだ英語活動の年間カリキュラム及び指導案の開発に着手し、その中の1時間分を市内の公立小学校において試験的な授業実践を行った。 基本的に英語活動ではあるが、英語を母語としない外国人留学生(シリア、中国内モンゴル、ロシア、ドイツ出身)の協力を得ながら、彼らの母語を含めた多様な言語に触れさせる活動も盛り込んだ。とりわけシリア人のアラビア語と内モンゴルのモンゴル語に対する児童の反応は極めて大きく、来年度はシリア人をALTとして授業を組み立てることを現在計画中である。
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