2005 Fiscal Year Annual Research Report
過眠症における髄液ヒスタミン濃度の検討および免疫性神経疾患でのオレキシン値の検討
Project/Area Number |
16614002
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
清水 徹男 秋田大学, 医学部, 教授 (90170977)
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Keywords | ナルコレプシー / ヒスタミン / オレキシン / 髄液 / 特発性過眠症 / 睡眠時無呼吸症 / ギランバレー症候群 |
Research Abstract |
【目的】(1)オレキシン神経の下位で覚醒の実行系であるヒスタミン神経の活動の指標として髄液中のヒスタミンを測定し、その正常値を明らかにすることと、過眠を呈する疾患においてヒスタミン値の異常の有無を確かめること。(2)髄液中のオレキシン値が低下しているギランバレー症候群と傍腫瘍性神経障害症候群(paraneoplastic syndrome)患者の過眠症状を客観的に評価し、ナルコレプシーでのオレキシン神経の永続的な脱落の原因解明の一助とすることである。 【方法】(1)ナルコレプシー・カタプレキシー:50例、脱力発作の無いナルコレプシー:13例、特発性過眠症:45例、その他の過眠症:34例、2次性過眠症で炎症性疾患が基礎にあるもの(ADEMなど):40例、2次性過眠症で炎症性疾患が基礎にないもの(腫瘍など):11例、閉塞性睡眠時無呼吸症:18例、コントロール群69例を検討した。オレキシンはRIにて、ヒスタミンはHPLCにて測定した。(2)ギランバレー症候群の2例について、回復後ではあるが過眠症状の残っている時期にtwo nap sleep testで入眠潜時を測定した。 【結果】(1)ナルコレプシー・カタプレキシーではオレキシン神経脱落の有無にかかわらずヒスタミン値は、コントロール群に比べて有意に低値であった。脱力発作の無いナルコレプシーの中ではオレキシン神経の存在する群だけコントロールに比べて有意に低値であった。特発性過眠症、その他の過眠症、2次性過眠症で炎症疾患が基礎にないものでも有意に低値であったが、睡眠時無呼吸症ではコントロール群と同等であった。また過眠症にてリタリン等で治療中の患者では、治療前の患者に比べてヒスタミンは高値の傾向がみられたが、オレキシン値には変化は無かった。(2)ギランバレー症候群の2例では入眠潜時が2例とも平均1分以下と短縮しており、過眠症状が裏付けられた。 【考察】これまでの報告と同様に、ナルコレプシーの症例ではヒスタミンも低値であり、加えて特発性過眠症や2次性の中枢性過眠症でも低値であった。髄液オレキシン値はナルコレプシーの中核群でのみ低値であるが、ヒスタミンは中枢性の過眠症状を反映する可能性があり、過眠症の生化学的な指標になるかも知れない。またリタリン等の治療にて、オレキシン値は変化が無いが、ヒスタミン値は高値になることから、ドーパミン系以外の治療効果の起序の解明にも役立つと考えられる。
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Research Products
(6 results)