2004 Fiscal Year Annual Research Report
睡眠の質が技能学習向上に与える影響に関する脳波的研究
Project/Area Number |
16614018
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
内山 真 国立精神・神経センター, 精神生理部, 部長 (20221111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田ヶ谷 浩邦 国立精神・神経センター, 精神生理部, 室長 (50342928)
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Keywords | 睡眠 / 手続き記憶 / 脳波 / レム睡眠 / ノンレム睡眠 / 学習 / 可塑性 / 高速フーリエ解析 |
Research Abstract |
序論 近年、手続き記憶測定方法の一つである視覚弁別課題の向上には練習後の睡眠が不可欠であることが報告されており、レム睡眠とノンレム睡眠のどちらが向上に大きく寄与するのか議論がなされている。しかし、実験統制や睡眠脳波解析が必ずしも充分でないため、結果について一定した見解が得られていない。今回、周波数解析を用いて、8時間の睡眠ポリグラフ記録に対し、定量的分析を行い、睡眠前後に行った課題成績の向上量との関係を検討した。 方法 書面で説明、同意を得た8名の健康な成人が実験に参加した(平均24.5±3.4才)。0時から8時まで終夜睡眠ポリグラフィを行った。睡眠前と起床後に視覚弁別課題を行った。ポリグラフ記録に対し30秒毎に国際基準に従って睡眠段階判定を行った。左中心部脳波に対しFFTによる周波数解析を行い、delta(0.3-3Hz)、theta(3-8Hz)、alpha(8-12Hz)、sigma(12-15Hz)、beta(15-20Hz)、各周波数帯域の30秒間毎のパワー値を算出した。段階REMの1エポックあたりの急速眼球運動の個数(REM密度)を算出した。 結果 睡眠変数との関係を検討した結果、睡眠後半(4時から8時)の睡眠段階3+4出現時間と向上量に有意な正の相関が認められた。さらに睡眠後半に出現したdeltaパワー値と向上量の間に有意な正の相関が認められた。全体8時間、睡眠前半、睡眠後半において段階REM中のalphaパワー値と向上量の間に有意傾向が認められた。REM密度と向上量には有意な相関が見られなかった。 考察 これらの結果から、睡眠後半に脳が休息するような睡眠経過がこの手続き記憶学習の向上に関わっていると考えられた。REM睡眠中のalphaパワー値が向上量と関係し、REM密度と向上量が関係しなかったことは、REM密度に表される脳幹活動よりもむしろ、皮質活動の活性化が向上と関係している可能性が示された
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Research Products
(7 results)