2004 Fiscal Year Annual Research Report
アレルギー反応による気道組織再構築における好酸球由来TGF-β1の意義
Project/Area Number |
16616005
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
田中 宏幸 岐阜薬科大学, 薬学部, 助手 (70264695)
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Keywords | 気管支喘息 / 好酸球 / リモデリング / アレルギー / 組織修復 / 線維化 |
Research Abstract |
本研究では、慢性的なアレルギー性気道炎症によって誘導される組織修復異常(気道リモデリング)における好酸球由来TGF-β1の意義を明らかにすることを目的とする。初年度は、申請者らが確立したマウス気道リモデリングモデルを用い、抗TGF-β1抗体を抗原曝露期間中に投与し、その影響を検討した。すなわち、抗原として卵白アルブミンを用いてマウスを能動的に感作し、その後、抗原を3週間連日吸入した。初回の実験では、抗TGF-β抗体を抗原曝露期間中(3週間)連日腹腔内投与した。また、2回目の実験では、抗原曝露開始から10日連日投与群と、抗原曝露開始11日目から最終抗原曝露日までの投与群の2群に分けて、その影響を検討した。 その結果、抗TGF-β1抗体を抗原曝露期間中全期間投与した場合、気道過敏性には影響を及ぼさなかったが、BALF中好酸球数ならびに血清中抗原特異的IgG1値は投与用量に依存して有意に増加した。一方、基底膜下の線維化は用量依存的かつ有意に抑制された。また、投与期間を前半と後半に分けて投与した場合、前半投与では気道内好酸球数・血清中抗原特異的IgG1値の有意な上昇が観察されたが、基底膜下の線維化については顕著な影響が認められなかった。これに対し、後半投与は、気道炎症ならびに血清中免疫グロブリン量には影響を及ぼさなかったが、基底膜下の線維化を用量依存的かつ有意に抑制した。 以上の成績より、抗原長期曝露により産生されるTGF-β1は炎症反応の終焉において2面性を有すると思われる。すなわち、炎症反応の制御と組織修復の両面にわたって重要な役割を有することが示唆された。
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Research Products
(1 results)