2006 Fiscal Year Annual Research Report
アレルギー反応による気道組織再構築における好酸球由来TGF-β1の意義
Project/Area Number |
16616005
|
Research Institution | Gifu Pharmaceutrical University |
Principal Investigator |
田中 宏幸 岐阜薬科大学, 薬学部, 講師 (70264695)
|
Keywords | 気管支喘息 / 好酸球 / リモデリング / アレルギー / 組織修復 / 線維化 |
Research Abstract |
昨年度、ダニ抗原(Dermatophagoides farinae)をマウスの気管内に投与することにより、その投与量に依存した気道過敏性、気道内好酸球増多、気道リモデリング形成が観察されること、これらの変化はいずれもIL-4受容体α鎖遺伝子欠損(KO)マウスでは観察されなかったことから、Th2依存的な反応であることを明らかにした。そこで、本年度はダニ抗原モデルで観察された基底膜下の線維化形成が好酸球由来TGF一β1に依存するか否かを、IL-4、IL-5受容体α鎖あるいはIL-13KOマウスを用いて検討した。 その結果、IL-4KOマウスでは、アセチルコリンに対する気道過敏性ならびに気道内好酸球増多は著明に減弱したが、気管支肺胞洗浄液(BALF)中のTGF-β1量は野生型マウスに比し、有意な低下が認められたものの部分的な低下にとどまり、また、気道上皮における杯細胞の過増生・肥厚ならびに基底膜下の線維化形成はいずれも野生型マウスに比し低下の傾向が認められるに過ぎなかった。これに対し、IL-5受容体α鎖KOマウスではBALF中の好酸球数は全く認められなかったが、気道過敏性、BALF中TGF-β1量の増加、気道上皮ならびに上皮下のリモデリング形成は、野生型マウスと同程度であった。一方、IL-13KOマウスにおいては、気道過敏性、気道内好酸球増多、BALF中TGF-β1量の増加、気道上皮ならびに上皮下のリモデリング形成は、いずれもほとんど認められなかった。 以上の成績より、ダニ抗原によって誘発される喘息様病態形成はTh2依存性であるが、特に気道過敏性の発症にはIL-4/IL-13の経路が、好酸球増多にはIL-5が、BALF中TGF-β1産生ならびに気道リモデリング形成にはIL-13が重要であることが示唆された。また、従来のOAモデルとは異なり、好酸球由来のTGF-β1の関与は小さく、むしろ好酸球以外の細胞からIL-13依存的に産生されるであろうTGF-β1が重要であることが推察された。
|
Research Products
(2 results)