2006 Fiscal Year Annual Research Report
小児アレルギー疾患の発症予防ワクチンの開発に向けた基礎研究
Project/Area Number |
16616011
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
松本 健治 国立成育医療センター(研究所), 免疫アレルギー研究部アレルギー研究室, 室長 (60181765)
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Keywords | アレルギー疾患 / 発症予防 / 疫学調査 / 自然免疫 / 遺伝子発現解析 / microarray / Th1 / Th2 |
Research Abstract |
本研究では、本邦におけるアレルギー疾患発症に関わる環境因子の疫学調査と、環境因子のアレルギー疾患発症抑制の機序の解明(基礎研究)から、アレルギー疾患の発症しにくい環境の提言と、アレルギー疾患の発症予防ワクチンの開発のための基礎的検討を行うことを目標とする。 疫学研究:広島市の全小学2年生の保護者を対象として、質問紙法を用いたアレルギー疾患の発症の有無と生育歴、生育環境に関する調査を行った(対象児童数11,163名、有効回答数9,975、有効回答率89.4%)。この成果として、乳児期のBCG接種はその後のアレルギー性鼻炎の発症リスクを低下させることが出来ない事を明らかにした。基礎研究:正常満期産の膀帯血や健常成人末梢血を各種のTLRのligandやBCG(東京株)、現在認可されている各種免疫増強剤(ピシバニール、クレスチン、レンチナン)刺激で誘導される遺伝子群を網羅的に解析した。その結果、各種刺激による膀帯血単核細胞のIFN-gamma産生は健常成人より著しく低く、各種免疫増強剤の中ではピシバニールのみがNF-κBやIRF7の下流にある遺伝子群の誘導が認められた。アレルギーの発症予防に必要な遺伝子群としてはIFN-gammaやIL-10、各種Co-stimulatory moleculeなどが知られており、これらの遺伝子群はそれぞれNF-κBやIRF7の下流にある。以上の結果から、本邦のBCGはアレルギー発症予防ワクチンとはなり得ないこと、現在認可されている各種免疫増強剤ではピシバニールがregulatory T細胞応答を誘導できる可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)