2005 Fiscal Year Annual Research Report
多光子型顕微鏡を用いた独自実験系による個別単球の内皮下浸潤動態の時系列3次元解析
Project/Area Number |
16650117
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
辻岡 克彦 川崎医科大学, 医学部, 教授 (30163801)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 謙 川崎医科大学, 医学部, 助手 (80341080)
片岡 則之 川崎医療短期大学, 臨床工学科, 助教授 (20250681)
遠藤 恒介 川崎医科大学, 医学部, 助手 (00350463)
出口 真次 岡山大学, 工学部, 助手 (30379713)
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Keywords | 動脈硬化 / 単球 / 血管内皮細胞 / 酸化LDL / VE-cadherin / PECAM-1 / 循環生理学 |
Research Abstract |
共焦点レーザー顕微鏡を用いた我々独自の実験システムにより,動脈硬化初期過程において,酸化LDLは血管内皮に接着した単球の浸潤開始に至るまでの内皮上でのダイナミクスを特異的に促進するが,一度浸潤を開始した後のダイナミクスには影響を及ぼさないことが明らかとなった.我々はこのような酸化LDLの特異的な作用が如何なる機序で起こっているのかを解明する為,酸化LDLが血管内皮細胞の細胞間隙分子の発現に及ぼす影響を検討した.単球の浸潤時に重要な働きを果たすと考えられているVE-cadherin及びPECAM-1についてウエスタンブロット法によりタンパク発現量を検討した結果,酸化LDLは前者の発現を有意に抑制,後者の発現を有意に促進することが明らかとなった.VE-cadherinは内皮細胞間隙のバリア維持の役目を持つことから,その発現抑制は単球浸潤を促進するものと考えられた.一方,PECAM-1は単球側の同分子とhomophilicに結合することにより単球を引き込むことが示唆されていることから,その発現増強はやはり単球の浸潤を促進するものと考えられた.以上より,酸化LDLによる単球の内皮上でのダイナミクスの特異的促進は,内皮細胞間隙分子の発現調節を介するものであることが示唆された.
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