2004 Fiscal Year Annual Research Report
温暖化による雨氷・着氷現象激増の影響と陸域・海域における雨氷・着氷発生予測研究
Project/Area Number |
16651003
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
西尾 文彦 千葉大学, 環境リモートセンシング研究センター, 教授 (40044789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 昭彦 千葉大学, 環境リモートセンシング研究センター, 教授 (30201495)
中山 雅茂 宇宙航空開発研究機構, 地球観測利用推進センター, 特別研究員 (60371150)
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Keywords | 雨氷 / 着氷 / 地球温暖化 / リモートセンシング / 雨滴 / 過冷却雨滴 / 4次元同化データ / 融解層 |
Research Abstract |
雨氷・着氷とは、過冷却の雨滴が、樹木、地上の構造物や航空機等に付着して凍結する現象で、人間活動に重大な被害を与える気象雪氷災害の一つである。その発生は、上空の暖気層で雪片が融解し、地上付近の寒気層で冷やされて過冷却雨滴となって地物に付着凍結する。本研究では、その予測手法の確立を目標としている。平成16年度の計画は以下の3項目であり、概ね予定した計画通りに進展している。 (1)熱力学的環境の解明 ・2004年7月、国際学会で発表;イタリア・ボローニャ、米国・ポートランド。・熱力学的な考察;雪片の融解、雨滴の凍結や過冷却機構を、観測事実と理論的考察に基づき考察した。・発生の判別指標;上記結果より、熱力学的な発生判別パラメータを策定。上空の暖気層(融解層)と地上付近の寒気層(再冷却層)の2つの気象条件を統合した総合的な指標の策定を行った。 (2)気候学的特徴の解明 ・日本気象学会誌に論文投稿準備中、日本雪氷学会に投稿。・発生の地域分布;地上気象観測資料から雨氷着氷の発生率の分布を求め、雨氷着氷の高頻度地域を特定した。海洋域では、4次元同化データや衛星リモートセンシングデータを活用し、雨氷着氷発生の熱力学的な判別指標を用いて解析を行う。・地域特性の解明:発生率の高い地域において、雨氷着氷発生の気象条件の形成過程について調べ、局地気象現象との関連性について明らかにする。・気候特性の解明:季節性、経年変動、将来の地球温暖化による影響について調べる。 (3)予測手法の構築 ・上記結果から、雨氷着氷発生の短期予測や長期的な気候予測手法の提案を考察中。特に、海洋域の着氷現象における雨氷着氷の影響評価も行い、その重要性について指摘できる観測データの収集中である。 以上、16年度中の計画の75%程度の成果を挙げた。また、研究分担者の松下拓樹君は、これらの成果に基づいて、平成17年度中に学位審査を行う予定である。
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Research Products
(5 results)