2004 Fiscal Year Annual Research Report
モンゴル高原における草原の砂漠化と草地利用制度に関する計量的研究
Project/Area Number |
16651018
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Research Institution | Policy Research Institute, Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries |
Principal Investigator |
鬼木 俊次 農林水産省農林水産政策研究所, 評価・食料政策部, 主任研究官 (60289345)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
双 喜 日本学術振興会, 科学技術特別研究員
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Keywords | モンゴル / 中国 / 内蒙古自治区 / 牧畜 / 過放牧 / 砂漠化 / 効率性 / DEA |
Research Abstract |
モンゴル高原における家畜の過放牧と牧草地の退化に関する経済研究を推し進めるため、本年度は、まず中国内モンゴル自治区の牧畜農家の家計調査を行った。内モンゴルの調査地域は,比較的都市部に近く、草地の退化の著しい烏審旗である。家計数は150戸である。 まず、プレテストの結果を受けて調査票を完成させ、内蒙古農業大学根鎖教授の協力を得て、大規模な家計調査を行った。調査内容は,販売,購入,資本,技術,経営意識等の経営内容,消費金額,購入方法等の家計消費項目、人口統計学的情報、意識調査である。現在、計量分析を行える状態までデータを整理しているところである。 モンゴル国の対象地域は、比較的都市部に近いトゥブ県と都市部から200〜500km離れたドンドゴビ県である。ここでは内モンゴルとほぼ同様の調査票を使っている。モンゴル農業大学のL.Nyambat教授との共同調査によって得られた130戸の遊牧民の家計データを整理し、DEA(Data Envelopment Analysis)の手法を用いて牧畜の技術効率性、規模め効率性、投入財の配分効率性を推計した。その結果、技術効率性が高い牧畜農家もいるが,極端に低い農家も多いことが明らかになった。すなわち、現在の放牧強度の下でも,効率性の低い牧民の技術を向上させることによって全体の収益を上げる余地は大きい。また、家畜頭数が増大すれば規模の効率性および配分効率性は向上するが,技術効率性は低下するため,全体の効率性は低下する傾向にある。したがって,効率性改善のためには経営技術の向上にも力を入れながら家畜頭数の増大を図ることが重要である。さらに、1999〜2002年の雪害以前の家畜頭数は経済的に最適な水準を超えていたが、雪害の被害のため現在は最適水準を若干下回っている状況にあり、今後の家畜頭数の変化に注意が必要であることが示された。
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