2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16654089
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大場 武 東京工業大学, 火山流体研究センター, 助教授 (60203915)
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Keywords | 火山ガス / 遠隔観測 / レーザー / ラマン光 / 化学組成 / 噴火予知 / 分光 / 能動的観測 |
Research Abstract |
1.装置の製作 微弱な後方散乱ラマン光を捉えることを最優先にし,観測装置の設計を行った.口径25cmのニュートン式反射望遠鏡を購入し,出力0.6W(532nm)のレーザー発信器を鏡筒に設置した.望遠鏡の光軸とレーザー光の光軸を完全に平行にするための角度微小調節器を作成した.後方散乱ラマン光の検出を行うために,CCDマルチチャンネル分光器を購入した. 2.実験結果 作成した装置を用い,通常大気の後方散乱ラマン光の観測を行ったところ,もっとも出力が高いと予測される窒素ガスからのラマン光強度ですら,検出限界に近いほど微小であることが判明した.現在の装置の構成では,火山ガスの組成観測に用いることが不可能であり大幅な改良が必要と判断した. 3.今後の方針 ラマン光を十分な検出強度に高めるためには以下の方策が有効である.A)レーザー光出力の向上,B)集光力の向上,C)ラマン光検出器の感度向上.A)については,少なくとも5W程度の発振器を使用したいところであるが,購入には最低でも300万円は必要であり,本研究の枠内では達成できない.そのために別途研究補助金の申請を考慮している.B)の集光力の向上には望遠鏡の大型化を伴う.しかし現在の装置構成でも一人で運搬するには限界に近い重量であり,実現は難しい.C)の感度の向上は現在の研究条件において唯一実現の可能性が高い.現在のCCD分光器は露出時間として60秒が最長である.これに替わり,冷却CCDカメラを利用し,10分以上の長時間露光が可能な分光器を自作することを計画した.そのために必要な光学設計を行い,部品の調達を行った.次年度では新しい分光器を作成し,火山ガスのラマン光観測の可能性を追求する.
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