2004 Fiscal Year Annual Research Report
メソイオン化合物を用いる開口フラーレンおよびヘリカルフラーレンポリマーの合成
Project/Area Number |
16655016
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
河村 保彦 徳島大学, 工学部, 教授 (30183289)
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Keywords | フラーレン / メソイオン化合物 / 1,3-双極付加環化 / エクストルージョン / 長鎖アルキル基 / 長鎖アルコキシ基 / 開口フラーレン / フラーレンポリマー |
Research Abstract |
メソイオン型1,3-ジチオリウム及び同チアゾリウム4-オレートとバックミンスターフラーレンの付加環化反応について検討した。いずれも1対1のモル比の[3+2]環状付加体が優先的に生成した。これらの付加体の熱反応では、レトロ付加環化反応を認めた。また、光照射(>280nm)では、黒色生成物の独占的生成を認めた。しかし環状付加体の有機溶媒に対する溶解性が甚だしく小さかったため、光反応生成物の詳しい物質研究は困難であった。この問題点を解決する糸口として、長鎖アルコキシフェニル基を有したメソイオン化合物の利用について検討した。このメソイオン化合物は、フラーレンとの環状付加体の溶解性向上のみならず、液晶性複素環化合物の出発原料としても有用と考えられる。本年度は、p-ヘキシルオキシフェニルおよびp-ノニルオキシフェニル基を有するメソイオン型1,3-チアゾリウム4-オレート(1)を合成した。橙色または赤色結晶の1は、あらゆる有機溶媒に対してその溶解性に改善が見られた。特にメソイオン化合物1とC_<60>の環状付加体では、通常の有機溶媒に対して10倍以上の溶解性の向上を認めた。また通常溶解し難い、酢酸エチルやエーテルなどにも溶解した。 この付加体を上記と同条件下光照射したところ、マクロ量の光反応生成物を得ることに成功した。種々のスペクトルデータおよび透過型電子顕微鏡測定によって、含イオウ複素環をバックボーンとしたオリゴメリックな構造の物質生成を示唆する結果が得られた。この推定構造に基づいて分子力場計算を実施したところ、C_<60>がヘリカルな配列をしたオリゴメリック構造が最適化された。 他方、開口フラーレン生成を目指して、2ケのアジド基を有したメソイオン化合物の合成も検討している。現在、メソイオン化合物に閉環する前段階物質の合成を実施している。
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