2005 Fiscal Year Annual Research Report
冗長自由度系で起こる逆運動学の設定不良の解消:ベルンシュタイン問題への挑戦
Project/Area Number |
16656085
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
有本 卓 立命館大学, 理工学部, 教授 (00029399)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 慎一 立命館大学, 理工学部, 教授 (90212167)
小澤 隆太 立命館大学, 理工学部, 講師 (40368006)
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Keywords | 冗長自由度系 / 冗長ロボット / ベルンシュタイン問題 / 逆運動学 / 不良設定問題 / 多関節到達運動 / 書字ロボット |
Research Abstract |
冗長関節をもつ人間の腕、あるいはロボットについて、水平面内の到達運動が仮想スプリング仮説(virtual spring hypothesis)に基づく制御法によって自然に機能することを実証した(昨年度)。しかし、そのとき各関節のダンピング係数を比較的大きくする必要があることに気づき、人間の筋肉が自然に働くときの粘性摩擦係数に比較すると、約10倍の値になることが判明した。本年度には、目標点から手先を引っ張る仮想的な力が、丁度スプリングとダンパーの並列結合によって生成されると仮想的に考えたことに相当する制御入力を構成し、理想的な到達運動を生成できることを実証し、ここに新たに"Spring-Damper Hypothesis"を提唱することに成功した。この仮説に基づいて、重力下のおける3次元到達運動も自然に生成できることを理論的に示し、かつ数値シミュレーションで実証した。また、この方法を書字ロボットに適用し、書字動作に入る前のペン先を紙面の指定位置に到達させる動作を重力下で試み、成功させた。また、冗長関節をもつ産業用ロボット(PA-10)にも"Spring-Damper Hypothesis"が適用できることを実験的に示すことに成功し、今年度末には論文にまとめる。 次年度には、冗長自由度系に対して、繰返し学習が成立することを実証する予定でいる。この問題についても、本年度予備的シミュレーションを試みた結果、予測通りの結果が期待できることが判明している。しかし、理論的な実証には多くの課題が残ることも予想される。その他、3次元重力下でホロノミック拘束がある場合に対するベルンシュタイン問題の一般的な解決をも企図したい。
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