2004 Fiscal Year Annual Research Report
細胞外基質の時空間制御および細胞ダイナミクス誘導による腎組織の形成
Project/Area Number |
16656252
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
王 碧昭 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (80261775)
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Keywords | 腎糸球体細胞 / 細胞外基質 / I, IV, V型コラーゲン / 細胞培養 / 細胞接着 / レセプター / シグナル伝達 / migration |
Research Abstract |
腎臓の発生は他の臓器と異なり、二つ別々の始原から出発、其々尿管と糸球体を生成する。この相互作用は異なる基質段階を経て、最後にネルロンを構成する。本研究は、腎臓発生期に発現する複数のコラーゲンを中心とし、損傷細胞の再生環境を築くことを最終目標とする。そのため、細胞が再生する際、細胞と足場が緊密は付着よりもダイナミック的な付着するのに着目し、発生の外的環境を模倣し、基底材料をI型-V型 IV型コラーゲンで勾配的に重層する。腎糸球体細胞が時間的に基質から付着、脱着を可動化し、空間的に凝集重層して、糸球体を形成することを目的とする。 本年度は、以下の点を明らかにした。 (1)豚角膜から酵素ペプシンとヘパリンカラムを用いて、I型、V型コラーゲンの抽出精製を完成した。また、豚のレンズカプセルから酵素を用いずに酢酸抽出法でIV型コラーゲンの抽出精製を完成した。さらに、I型、V型コラーゲンの繊維の再構成、IV型コラーゲン中性ゲルの作成も完成した。 (2)豚やマウスの腎糸球体をmesh-seiving法により単離し、異なる培地を用い、細胞培養皿で培養した結果、上皮、内皮、メサンギウム細胞が其々outgrowthできた。トリプシン法を用い、繊維芽細胞を除いた後、純粋な上皮、内皮、メサンギウム細胞をさらに増殖させ、実験必要な細胞量が集められた。また、DMSO法により、細胞を凍結保存できた。 (3)上記(1)の各コラーゲンを用い、培養皿コートをしたうえ、単離した腎糸球体構成細胞を其々培養する。さらに、コラーゲンを細胞播種時から培地に加えて、細胞を培養した。蛍光免疫染色により、細胞骨格を観察した。その結果、I, IV型コラーゲン上の細胞は密着付着を呈したが、V型コラーゲン繊維上だけで細胞が活発なmigrationが観察された。また、細胞接着のシグナルレセプターを観察した結果、I, IV型上の細胞ではintegrinしか発現しないが、V型上の細胞ではintegrinとNG2二つのレセプターを持って、細胞外の基質情報を細胞内に伝達したことが認められた。 以上の成果により、V型コラーゲン繊維は細胞のダイナミクス誘導に関与することを示唆した。
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Research Products
(2 results)