2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16658073
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
北岡 卓也 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (90304766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 雅宏 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (10211921)
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Keywords | セルロース / セルラーゼ / 界面活性剤被覆酵素 / 非水系酵素重合 / 構造性多糖 / 糖鎖機能材料 |
Research Abstract |
糖鎖材料の機能イノベーションと工学的利用に向けて、分子設計が困難な構造性多糖についても新規合成法が希求されている。本研究では、D-グルコースのみからなる単純なホモ多糖分子でありながら、これまで高分子化が困難であったセルロース分子の合成に挑戦した。本年度は、非水系でも高い酵素活性を発現可能な「酵素-界面活性剤複合体」を要素技術として、以下の成果を得た。 【反応系】生成多糖の良溶媒である塩化リチウム/ジメチルアセトアミド(LiCl/DMAc)を用いることで、合成産物のセルロースが常に分子分散可能な均一系での脱水縮合反応に初めて成功した。 【重合反応】選択的にβ-1,4結合のみを認識して加水分解するセルラーゼの逆反応を利用することで、複雑な保護・脱保護を必要とせず、単純な構成糖からセルロースの合成が達成された。 【酵素】反応媒体の非プロトン性極性溶媒DMAcは強力な酵素失活剤であるが、界面活性剤のニシオレールによりセルラーゼ表面を被覆することで、高い有機溶媒耐性を付与することができた。 【基質】既存のセルロース酵素重合では出発物質のセロビオース(構造構成二糖)のフッ化が必須であったが、未修飾のセロビオースから高効率でセルロース分子鎖の伸長反応が可能になった。 以上の結果、平均重合度50以上の生成物が容易に得られ、処理条件を最適化することでDP107のチャンピオンデータを得るに至った。MALDI-TOF-MS分析により、無水グルコース残基の分子量の繰り返しステップを示すホモグルカン特有のプロファイルが得られた。本研究の手法を応用することで、セルロースを構造性分子素子とする新たな機能性糖鎖分子の開発に期待が持たれる。
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