2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16658073
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
北岡 卓也 九州大学, 大学院農学研究院, 助教授 (90304766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 雅宏 九州大学, 大学院工学研究院, 教授 (10211921)
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Keywords | セルロース / セルラーゼ / 界面活性剤被覆酵素 / 非水系酵素反応 / 糖鎖合成 / 糖鎖修飾 / 細胞培養 / 糖鎖機能材料 |
Research Abstract |
糖鎖は、DNAやタンパク質に続く第3の鎖状生命分子として生体内で重要な役割を果たしており、その材料工学的利用に向け、分子設計が困難な構造性多糖についても新規合成法が希求されている。本研究では、グルコースのみからなる単純な多糖類でありながら、これまで高分子化が困難であったセルロースの合成と、その技術を応用したセルロース固体表面の糖鎖修飾を試み、以下の成果を得た。 1.セルロース分子のin vitro合成 (1)合成触媒 Dioleyl-N-D-glucona-L-glutamate(2C_<18>Δ^9GE)によるW/Oエマルション形成を介して、セルラーゼ表面を被覆する際に、水相pHを加水分解の至適pHの5から9にシフトさせることで、合成効率(収率)が4倍以上に向上した。 (2)構造同定 生成物のMALDI-TOF-MS分析、精密糖分析、X線回折により、D-グルコースのβ-1,4結合のみからなるホモ多糖分子、すなわちセルロースの生成を確認した。 (3)分子量 最適条件下での生成物の平均分子量はDP100を超え、これまでの報告(約20)を大幅に上回った。セロビオヒドラーゼを用いることで、転化率は20%を超えた(ただし、DPは20程度)。 2.セルロース固体表面の糖鎖修飾 (1)糖鎖導入 セルラーゼが基質認識するラクトースを用いて、セルロース固体表面へ導入した。塩化リチウム/ジメチルアセトアミド溶剤でセルロース固体を活性化し、その表面のみにラクトースが導入されることを、蛍光標識レクチンおよびX線回折により確認した。 (2)細胞培養 糖鎖修飾ろ紙を用いてラット肝細胞IAR-20を培養したところ、24時間で80%以上の接着率を達成した(未修飾ろ紙は40%以下)。これにより、導入した糖鎖のガラクトース非還元末端の生体機能発現が示唆され、構造性多糖をベースとした新規糖鎖材料の機能創出に向けた指針を得た。
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