2004 Fiscal Year Annual Research Report
魚類の再生鱗をモデルとした脊椎動物の骨再生機構研究の新展開
Project/Area Number |
16658077
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
都木 靖彰 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 教授 (10212002)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦 和寛 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 助手 (90360940)
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Keywords | 再生 / 鱗 / 骨代謝 / Cbfa1 (Runx2) / BMP2 / 石灰化 |
Research Abstract |
1.キンギョの鱗再生にともない発現するBMP2およびCbfa1(Runx2)遺伝子の塩基配列を決定した。これまでにCbfa1遺伝子は全配列を決定し、BMP2はほぼ70%程度の配列の決定を終えた。キンギョCbfa1遺伝子はこれまでに報告されたゼブラフィッシュRunx2bと最も高い相同性(約90%)を示した。 2.低リン・低カルシウム条件下におかれたキンギョにおける鱗再生と石灰化に関して、その詳細な組織観察をおこなうとともに、再生鱗の基質合成量、Ca蓄積量、鱗培養により増加するCa量を定量した。その結果、低リン・低カルシウム条件下では、再生鱗周辺部の広い範囲に完全に石灰化していない部位が存在するとともに、再生鱗中央部の石灰化も大幅に減少していることを確認した。また、再生鱗骨質層で骨吸収が活性化しており、骨質層が薄くなっていることをあきらかにした。Ca蓄積量は対照群の25%以下に抑制されていた。乾重量は対照群と比べて約20%減少しており、基質形成活性の低下が示唆された。低リン・低カルシウム条件下で再生した鱗をリンおよびカルシウムを正常なキンギョの血液と同程度の濃度に含む生理的塩類溶液中で4時間培養すると、Ca含量は培養前の約2倍に増加した。その組織観察をおこなったところ、正常な鱗で石灰化がおこる骨質層で培養により石灰化が進行していた。再生鱗縁辺部のみ石灰化部位も石灰化が進行していた。これらのことから、低リン・低カルシウム条件下における再生鱗は、特に縁辺部において石灰化が抑制され、破骨細胞の活性化した鱗であることが明らかになった。また、このような鱗は、生理的塩類溶液中で正常に石灰化が進行することも明らかとなった。
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