2004 Fiscal Year Annual Research Report
触媒アミノ酸を置換した酵素が、発揮する新たな機能とその応用
Project/Area Number |
16658136
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
木村 淳夫 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (90186312)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 春英 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (80241363)
奥山 正幸 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助手 (00344490)
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Keywords | 触媒残基変異 / システイン酸化 / オリゴ糖合成 |
Research Abstract |
糖質の加水分解酵素は、2つの酸性アミノ酸(AspやGlu)を触媒残基とし、それぞれが-COO^-と-COOHの荷電状態を形成し、協奏的に加水分解を触媒する。応用性の高い糖転移作用も示すが、分解と転移は2つの酸性アミノ酸でなされ分割できない。最近、α-グルコシダーゼにある-COO^-型の触媒基であるAspをCysに置換した。本酵素(Asp→Cys)には活性はないが、温和な酸化処理で活性を発揮した。Cysの-SHが酸化され-SOOHとなり、活性中心内で-SOO^-に解離し-COO^-の代わりを行うと考えている。この酵素は分解能を失い、糖転移能が上昇し95%の収率を与えた。本研究の目的は、-SOO^-酵素に見出された「非分解・高転移」の現象を解析し、応用を行うことである。具体的には1)酸化したCys残基の構造決定、2)糖転移反応の解析、3)他の酵素を合成酵素にする先駆けとして、触媒基を-SOO^-にしたα-ガラクトシダーゼの構築と機能解析、である。本年度は、以下の成果が得られた。 1)酸化されたCys残基の構造解析のため、Cys酸化酵素の大量調製を行った。本酵素1分子中にある-SH基のモル数を滴定し、酸化が完全であることを確かめた。2)Cys酸化酵素をプロテアーゼ消化し、得られたペプチドの分子量をTOF-MSで測定した。同様な処理を行った親酵素のマスデータとの比較から、-SOO^-の形成が明らかになった。3)Cys酸化酵素の作製は、I_2処理により行っているが、作用時間が長い。この点を解決するために少量のBr_2を添加したが効果はなかった。反応条件(温度とpH)を変化することで迅速な調製方法を確立することに成功した。4)Cys酸化酵素の機能解析を行った。基本的な性質は、親酵素と同様であった。しかし、基質特異性が異なっており、特に基質分子に対する親和力が変化した。この新たな性質とオリゴ糖合成の向上の関係を現在解析中である。
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Research Products
(15 results)