2004 Fiscal Year Annual Research Report
活性型ヨードシルベンゼン超分子錯体の合成とその反応
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16659005
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
落合 正仁 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (50127065)
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Keywords | 超原子価 / ヨードシルベンゼン / 酸化 / クラウンエーテル / 超分子 / ヨウ素 / 錯体 |
Research Abstract |
ヨウ素は毒性をほとんど示さないため、三価の超原子価ヨウ素化合物は環境にやさしい、環境に調和する酸化剤として有機合成化学で多用されている。その代表がヨードシルベンゼンであるが、残念ながらI-O超原子価結合を介したポリマーであるため、通常の有機溶媒には溶けず、その反応性も低い。酸化剤として使用するには、酸触媒を加えてヨードシルベンゼンを活性化させる必要がある。この目的のためにBF_3-Et_2O, HBF_4, TfOHなどの酸がよく使用され、ヨードシルベンゼンモノマー活性種が生成すると信じられている。ところがこれらの活性種は室温では直ちに分解してしまうほど不安定であり、単離はできず、その詳細な構造も不明のままであった。本研究では、これらの反応種にクラウンエーテルを配位させて、酸素原子の多重配位効果によりこれを安定化し、超分子錯体を合成・単離することに成功した。即ち、新しい活性型ヨードシルベンゼンモノマーを開発し、その適度な酸化能を活用して特徴ある酸化反応を開拓することができた。 1)クラウンエーテル存在下、ヨードシルベンゼンにHBF_4を作用させて、超分子錯体である活性型ヨードシルベンゼンモノマーを合成した。次いで、これらの安定性を調べ、錯体の単結晶を作成して固体構造をX線結晶解析により明らかにした。 2)クラウンエーテルは水によく溶けるため、活性型ヨードシルベンゼンモノマーを用いる酸化反応を水中で実施し、これらを水中で使用可能な新しい超原子価酸化剤として位置づけることができた。具体的には、1)フェノール類のキノンへの酸化反応、2)置換フェノールのp-quinolへの酸化反応、3)スルフィドの酸化反応、4)オレフィンのジヒドロキシ化反応、5)シリルエノールエーテルのα位酸素化反応や6)ジアリールヨーダン合成反応などを水中で実施することに成功した。
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Research Products
(6 results)