2005 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍依存性血管新生・リンパ管新生を抑制する遺伝子改変幹細胞移植による分子標的治療
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16659067
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
馬嶋 正隆 北里大学, 医学部, 教授 (70181641)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 朋恵 北里大学, 医学部, 助手 (20296510)
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Keywords | ACE阻害薬 / AT1受容体拮抗薬 / 血管新生 / VEGF / 宿主ストローマ / AT1aノックアウトマウス / CD31染色 |
Research Abstract |
マウス皮下組織にsarcoma-180あるいはNFSA腫瘍細胞株を接種するとゆっくりとした腫留の形成が認められる。これらの動物にACE阻害薬のリジノプリルあるいはAT1受容体拮抗薬のTCV-116を投与すると、血管新生および腫瘍増殖は強く抑制された。腫瘍周囲ストローマを含む試料でAT受容体サブタイプの発現解析を行うと、AT2およびAT1bは全く検出されず、AT1aのみ検出された。免疫組織化学でAT1の組織内発現を調べると、AT1を発現しているのは腫瘍細胞ではなくむしろ腫瘍周囲のストローマであり、一部新生血管で発現が認められた。上述のsarcoma-180移植モデルの血管新生にも、VEGFが重要な役割を果たすことが明らかであった。腫瘍ならびにその周囲のストローマでのVEGFの発現を蛋白レベルで免疫組織化学で調べると、腫瘍細胞よりむしろストローマ細胞でのVEGFの発現が強く認められ、AT1受容体拮抗薬のTCV-116の投与により特にストローマでその発現の減弱がみとめられた。VEGFのmRNAをみてみても全く同様の推移を確認できた。 さらに宿主ストローマのAT1a受容体シグナリングの重要性を確認するため、AT1a受容体ノックアウトマウスを用いて腫瘍接種モデルの検討を行った。同受容体ノックアウトマウスとワイルドタイプマウスにLLC細胞を背部皮下組織に接種すると、ワイルドタイプでの増殖に比べAT1aノックアウトマウスでは増殖が抑制された。CD31染色で確認した腫瘍組織内での新生血管密度はAT1aノックアウトマウスで極めて低値を示した。同受容体ノックアウトマウスとワイルドタイプマウスに腫瘍を接種し、TCV-116を両マウスに連日投与すると、ワイルドタイプで腫瘍増殖、腫瘍依存性の血管新生が強く抑制されたのに対し、AT1aノックアウトマウスではTCV-116の抑制効果は全くみられず、これからも宿主側のAT1a受容体シグナリングが主に作用していることが明らかにできた。AT1aノックアウトマウスではVEGFの誘導もかからないことが見いだされた。
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Research Products
(7 results)