2005 Fiscal Year Annual Research Report
紫外線発癌におけるプロスタノイドの分子機序解明と治療創薬開発
Project/Area Number |
16659292
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮地 良樹 京都大学, 医学研究科, 教授 (30127146)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 由美 京都大学, 医学研究科, 助手 (10362493)
椛島 健治 産業医科大学, 医学部, 助教授 (00362484)
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Keywords | 紫外線 / 発癌 / プロスタグランジン / 免疫抑制 |
Research Abstract |
紫外線は紅斑(日焼け)・皮膚老化・免疫抑制・発癌など多岐に渡る影響を生体に及ぼす。皮膚科領域では、紫外線による免疫抑制作用は重要で、様々な皮膚疾患に紫外線治療が応用されているが、その反面、腫瘍免疫機能の低下により、皮膚癌を誘発することが問題となっている。一方、プロスタグランジン(PG>E_2は、各々異なるシグナル伝達系を持つ4種類のサブタイプ受容体EP1、EP2、EP3、EP4を有し、紫外線照射によりのPGE_2産生が強く認められることが知られていた。ところが各受容体の発現レベルや分布の複雑さ故、紫外線照射におけるPGE_2の機能解析は困難であった。そこで我々は研究目的をPGE_2の紫外線照射における生体への役割の解明と治療への応用に定め、課題の実現を目指している。 まず、紫外線照射による紅斑形成において、マウスに紫外線照射を行うと、耳介の腫脹が起こるが、この腫脹反応がNSAIDにより減弱し、プロスタノイドの関与を示唆させた。そこでPGE_2受容体欠損マウスに紫外線を照射するとEP2欠損マウスにおいてのみ反応が減弱していることが確認された。したがって、紫外線紅斑の形成には、PGE_2-EP2シグナルが重要であることが示唆された。 さらに、紫外線の局所免疫抑制作用を検証するために、紫外線を腹部に3kJ/m^2照射した3日後にハプテンであるDNFBを腹部に塗布して感作する。その5日後にDNFBを耳介に塗布し24時間における耳介腫脹変化を確認すると、紫外線を照射しなかったグループに比べ耳介腫脹が減弱し、局所の免疫抑制効果を検証できる。この局所免疫抑制作用がプロスタノイドの産生を阻害するNSAIDの投与により消失することをC57BL/6マウスで確認したのでプロスタノイドがこのメカニズムにおける重要な分子であることが強く推測される。現在PGE_2各受容体欠損マウスにこのモデルを行い各受容体の役割の解明を行っている。
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Research Products
(3 results)