2004 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病患者における「笑い」の生理的および心理的効果に関する研究
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16659602
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
林 啓子 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教授 (50156436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦山 修 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (90114743)
高島 尚美 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (00299843)
山内 惠子 名古屋学芸大学, 管理栄養学部, 講師 (90387910)
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Keywords | 笑い / 2型糖尿病 / 血糖コントロール / 糖尿病患者支援 / 糖尿病教育 / 前向き感情 / 療養行動 / 大脳生理学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、「笑い」が2型糖尿病患者の血糖コントロールに及ぼす影響を明らかにすることである。研究方法として、漫才や落語などで笑った前後における血糖値の変動をみる短期介入実験と日々の生活の中で笑う機会を増やすことによる長期介入実験を計画した。 平成16年度は短期介入実験として、12月に8名の糖尿病患者に漫才を鑑賞してもらい血糖値の変動を観察した。この実験は平成15年から継続しているもので、今回は3回目の実験であった。この実験では1日目に500kaclの昼食摂取後、笑いのない講義を聴講し、2日は同様に昼食摂取後、思いっきり笑う漫才鑑賞で食後2時間の血糖の上昇値を比較した。科研費採択以前におこなった2回の実験では、笑った時に食後2時間血糖値の上昇が有意に抑制されるという結果を得ていた(1回目-45.9mg/dl、2回目-13.2mg/dl)が、今回の実験でも、同様の結果(-31.4mg/dl)であり、思いっきり笑うことが食後血糖値の上昇を抑制することが証明された。 長期的介入実験では、市販のコメディVTRを用いて日常的に笑う機会を増やすことを考えていたが、個人の好み等により笑いの質や量が変わる可能性があるとの見解から、個人的な価値観に左右されずに笑う方法の開発から着手した。さまざまな検討を経て大脳生理学、表情学等の先行研究に基づいた「笑い誘発VTR : Effective Laugh Maker」を制作した。次年度の計画としては糖尿病専門クリニックに通院する糖尿病患者を対象に笑い教室を月1回半年間にわたり開催し、さらに自宅でもこのVTRを視聴するようにして日常生活の中で笑う実験を実施する。この実験から期待されることは日常的に笑う機会を増やすことで、前向き感情を促進し、さらに活動性を高め、結果として生活習慣の改善から血糖値の安定化を図るというものである。測定項目としては、血糖値やインスリンなどの内分泌因子、万歩計による活動性、健康日誌記入による継続性ややる気の変化、その他POMSなどの気分尺度による心理変化の観察などを予定している。
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Research Products
(2 results)