2005 Fiscal Year Annual Research Report
集団行動と集団認知に文化と社会構造が与える影響に関する研究
Project/Area Number |
16683002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
結城 雅樹 北海道大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (50301859)
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Keywords | 集団行動 / 集団認知 / 文化 / 社会構造 / 比較文化 |
Research Abstract |
平成17年度は、以下の研究を行い、研究題目に関連する重要な知見と示唆を得た。 ・研究1.北米人の集団間志向の原因の探究-同盟形成仮説の検証:先行研究によると、北米人は東アジア人と比べ、集団間比較(内集団と外集団の相対的地位の比較)により強い関心を持っている。ここでは、その原因を両者の個人間競争志向の差異に求めた。日米における質問紙調査の結果、予測通り、集団間競争志向に関する日米間の文化差は、個人間志向の個人差によって媒介されていた。 ・研究2.類似性-魅力効果と関係流動性:この研究をもって、集団過程の文化差を社会構造の観点から説明する試みを本格的に開始した。社会関係の流動性の高い社会に住む人々の方が、流動性の低い社会の人々よりも、自由な関係形成が可能であるために、より協調しやすい類似他者を相互作用の相手として選びやすいとの仮説を検証した。質問紙調査の結果、予測通り、社会の関係流動性を高く見積もっている人ほど、親友と自分との類似性を高く見積もっていることがわかった。 ・研究3.内集団愛着と外集団敵意-同盟心理のタイプの弁別:人間には、様々な脅威に直面したとき、それに集合的に対処するための心理メカニズムがある。ここでは、その集合的対処には内集団の肯定に基づくものと外集団の否定に基づくもの二種類があり、そのいずれが発動するかは直面した脅威の種類によって規定されるとの仮説を検証した。だが、実験の結果、脅威の種類と内外集団の評価の間にはシステマティックな関連が見られなかった。 ・研究4.資源枯渇状況への直面が内集団への協力に与える影響:人間が資源枯渇状況に直面した際の解決法には、資源を独り占めする個人戦略と、集団で他者と協力して資源確保を図る集合戦略があるとの仮説を検証した。実験の結果、個人戦略の存在は確認されたが、集合戦略の存在は確認されなかった。
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