2004 Fiscal Year Annual Research Report
結晶工学に基づくフォトクロミック結晶のナノ構造と反応の制御
Project/Area Number |
16685014
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
小畠 誠也 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00325507)
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Keywords | フォトクロミズム / 結晶 / X線構造解析 / ジアリールエテン / ナノ構造 / 顕微分光 / 反応制御 / 積層構造 |
Research Abstract |
結晶構造の制御に基づき、新規な光機能性フォトクロミック結晶を創製し、新しい機能を有する材料の開発を目指している。本年度は、ナノレベルでの分子配列および分子配置の制御に基づく新規なジアリールエテン結晶の作製を行った。具体的な研究内容は以下の通りである。 1.ジアリールエテン結晶のナノ構造の制御 アリールーペルフルオロアリール相互作用により2種類のジアリールエテンからなる複合結晶を作製し、3次元交互型あるいは異種積層型複合単結晶を生み出すことができた。2種類のジアリールエテンは両者ともフォトクロミック反応可能であるが、励起状態で一方からもう一方へのエネルギー移動が起こるため、片方のジアリールエテンのみが優先的に反応することを見いだした。このような結晶では紫外光照射により、モザイク状あるいは積層交互型に着色することをX線構造解析から明らかにした。 2.高効率、高反応性フォトクロミック結晶の創製とナノ構造の制御 ジアリールエテン結晶は反応初期においては高効率で高反応性であることを既に見いだしている。しかし、光反応の進行に伴い内部フィルター効果や戻り反応のために、フォトクロミック反応は約10%程度の変換率までしか進まない。そこで、高変換率まで高速で反応する結晶反応系の創製を試みる。昇華法により、結晶サイズを数ミクロンにまで小さくすることに成功し、紫外光照射により見かけ上溶液中と同様に結晶を保ったまま80%以上にまで反応が進行することを見いだした。戻りの量子収率の小さいジアリールエテン結晶を開発し、100%まで可逆にフォトクロミック反応するジアリールエテン結晶の創製を目指したが、反応が50%までしか達しなかった。そこで、X線構造解析でナノ構造を確認したところ、反応に有利なコンフォメーションと反応に不利なコンフォメーションが1:1の比で存在し、それらが交互積層構造で配列していることを見いだした。
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Research Products
(5 results)