2005 Fiscal Year Annual Research Report
結晶工学に基づくフォトクロミック結晶のナノ構造と反応の制御
Project/Area Number |
16685014
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
小畠 誠也 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 助教授 (00325507)
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Keywords | フォトクロミズム / 結晶 / 高効率反応 / ジアリールエテン / エネルギー移動 / 顕微赤外分光 / 蛍光 / 混晶 |
Research Abstract |
これまでに、熱安定性と繰り返し耐久性に優れたフォトクロミックジアリールエテン結晶の研究を進め、結晶中でのナノ構造の制御、反応初期での分子構造変化の解明などを行っている。本年度の研究では、(1)100%まで反応の進行するジアリールエテン結晶の作製と反応解析、(2)蛍光変化などの固体物性の可逆な変化について検討した。 (1)100%まで反応の進行するジアリールエテン結晶の作製と反応解析 ジアリールエテンの分子構造の制御に基づき、溶液中で100%まで反応が進行する分子を既に見出している。この化合物を用いて、昇華法により微結晶を作製し、紫外光照射に伴う赤外吸収スペクトルを顕微鏡下で測定した。無色の開環体の時には、1400cm^<-1>付近に吸収が現れているが、紫外光照射により、そのピークは減少する。別途閉環体のみのスペクトルを測定すると、1400cm^<-1>付近には吸収はない。したがって、1400cm^<-1>の吸収強度から反応率を決定することができる。実際、数10秒間紫外光を照射するだけで、92%まで反応が進行した。溶液中では100%まで反応が進行するが、結晶中では完全に反応は進まなかった。これは結晶中では分子が密に詰まっており、反応の進行に伴い長波長に吸収を持つ閉環体が生成し、励起した分子は閉環体にエネルギー移動したためだと考えられる。また、このような励起エネルギー移動は開環体同士でも起こることを他のジアリールエテン結晶の量子収率を測定することにより明らかにした。 (2)蛍光変化などの固体物性の可逆な変化 蛍光を発するジアリールエテン(A)と蛍光を発しないジアリールエテン(B)の混晶の作製を行っている。その結果、結晶Aに少量のBが混晶として混入した場合には蛍光強度が著しく減少することが明らかになった。これは励起エネルギーが少量存在するBに効率よくエネルギー移動したためだと考えられる。さらに、蛍光特性や偏光吸収特性について詳しく調べている。
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Research Products
(7 results)