Research Abstract |
近年の地球・都市環境問題を解決するためには,高効率・低環境負荷燃焼器を開発する必要がある.NOx排出量の低減には,希薄予混合燃焼を採用することが有効な解決策と考えられているが,希薄予混合火炎では火炎の不安定性や振動燃焼等が生じるため,これらを制御することが必要不可欠となる.本研究では,詳細化学反応機構を用いた直接数値計算(DNS)及び粒子画像流速計(PIV)と平面レーザ誘起蛍光法(PLIF)を組み合わせたレーザ複合計測を用いて希薄乱流予混合火炎の構造を明らかにし,それらに基づく希薄乱流予混合火炎の保炎手法と振動燃焼制御法を構築することを目的としている.平成16年度は希薄乱流予混合火炎のマイクロ・スケール構造の解明に重点を置いて研究を行った.DNSによる数値的研究では,水素・空気希薄乱流予混合火炎及びメタン・空気乱流予混合火炎の三次元DNSを行い,それらの結果から火炎のマイクロ・スケール構造に対する当量比及び燃料種の影響を明らかにした.当量比1程度の水素・空気乱流予混合火炎の場合,局所熱発生率は火炎面の曲率に支配されているが、当量比の低下とともに,支配因子が曲率から火炎面に作用する接線方向歪み速度に変化する.また,メタン・空気乱流予混合火炎の場合,当量比1程度でも局所熱発生率は接線方向歪み速度によって支配されており,二方向に強い伸張を受ける火炎要素では局所的な消炎が生じる.レーザ複合計測による実験的研究では,乱流燃焼器においてPIVとPLIFを用いた速度と濃度の同時計測を行い,乱流予混合火炎のマイクロ・スケール構造に対する当量比の影響を明らかにした.火炎面の最小曲率半径は未燃乱流場のコルモゴロフ・スケールと良く一致し,それらは当量比にほとんど依存しない.しかし,希薄条件では,理論混合比条件に比べて小さな曲率を有する火炎面の存在確率は低下する.また,接線方向歪み速度の大きさは未燃乱流場のテイラー時間スケールと一致し,この結果はDNSの結果とも良く一致する.
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