2006 Fiscal Year Annual Research Report
ミリ秒の高時間分解能を持つ新しい蛍光顕微解析系の開発
Project/Area Number |
16687006
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
西坂 崇之 学習院大学, 理学部, 助教授 (40359112)
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Keywords | 1分子ナノ計測 / バイオイメージング / 蛋白質の構造 / 分子マニピュレーション / 1分子生理学 / 光学顕微鏡 / 分子モーター / F_1ATPase |
Research Abstract |
本研究課題の最終目標は、蛋白質1分子の構造が変化する時の情報を、ミリ秒という高い時間分解能で画像化することであった。本研究期間中に、装置の基本概念に関する3件の特許出願を行い、そのうち2件が基礎研究に応用が可能であることを実施例を通して示すことができた。主な研究成果を以下にあげる。 (1)高速カメラを用い、粒子の位置をサブミリ秒の分解能で3次元的に追跡する実験手法を開発した。さきがけ研究(JST)で独自に開発した技術(特願2005-197049「3次元位置観測方法及び装置」)に、粒子を低ノイズかつ高速で撮影する手法を加えたもので、現在1.4ナノメートルの位置決定能を実現している。第51回米生物物理学会等で報告。 (2)まだミリ秒の分解能には満たないものの、蛋白質のサブユニットの動きを3次元的に観測することに成功した。試料は回転分子モーターF_1-ATPaseであり、この蛋白の中のγサブユニットはATPを分解するエネルギーにより一方向に回転する。この正確な回転平面を、個々の分子を対象にして決定し、軸の倒れを正確に見積もることができた。第44回生物物理学会年会等で報告。 今後は蛋白質の3次元の構造変化について、装置系と観察する試料と改良を加え、ミリ秒の分解能を達成するべく様々な手法を総合的に開発する。また独自の顕微鏡技術の応用として、異なるテーマを進めている他の研究者と積極的に交流を進めており、これら共同研究からの新しい結果も期待される。特に大阪市立大の宮田真人教授、東大新領域の田口英樹助教授、情報通信研究機構との大岩和弘グループリーダーとの共同研究は活発である。光ピンセットや3次元顕微鏡等を用い、細胞運動、細胞内の蛋白の可視化、リニア分子モーターの挙動など、様々な分野に新しい研究手法を発展させることに成功した。
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