Research Abstract |
咀嚼は食品の形状変化を伴う物性変化を行う場であり,咀嚼機能の評価の基準をこの物性変化に求め,義歯の総合的評価の確立を目的とする.具体的な目標は以下の通りである。 ・粉砕性食品,弾力性食品,切断性食品等を用いて規定咀嚼回数ごとに粒体,粘弾性体,流体としての物性を測定し,その推移を観察する. ・多段での篩分法により粒度分布を求め,粒度と粘弾性の変化の関係を検討する. ・更に顎運動,筋活動を同時に測定し,これらと粘弾性の変化との関係を検討する. ・以上の計測を,健常歯列者群,義歯装着者群に対し行う. ・これらの結果を総合して食塊の形成の過程を明らかにする. 平成16年度においては,物性試験の方法を確立することが目的であった.数ある物性試験のうち,最初に破断強度試験を行った.咀嚼試験においてよく用いられるグミゼリー(明治果汁グミ,ピーチ)について破断試験を行ったところ,破断荷重は7.23[N],破断応力は1.02×10^6[N/m^2],破断エネルギーは2.78×10^5[J/m^3]となった.しかし現在までにおいて,いまだ物性試験の試験法確立にまでは至っていない. 今後は種々の物性試験(破断試験,クリープ試験,テクスチャー試験等)を,様々な被験食品,特に義歯装着者に対する摂取可能食品を用いて行い,そのテクスチャーの傾向と,咀嚼後の実際の物性,健常者との比較をする.それらの結果から,適切な被験試料の探索,咀嚼による食品の物性変化の収束の観察,篩分法との比較をし,真の咀嚼効率を求め,あわせて,それらを元にした義歯の評価法を確立する.
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