Research Abstract |
本研究では,プロの翻訳者が持つ翻訳戦略を模倣し,計算機上の機械翻訳モデルとして実現することを目的としている.本年度は,翻訳対象の文書の原言語文解析・翻訳変換・目的言語文生成といった各処理を遂行するのに際して,あらかじめモデルが持っている言語知識(単言語辞書・文法規則・翻訳変換辞書)が十分であるか否かを検出する機構について研究を行った.この検出機構を計算機上で実現するために,本研究では,WWW上の検索エンジンを援用する手法を開発した. 具体的には,この手法においては,例えば,翻訳対象の原文に対して翻訳モデル自身が同定した専門用語が適切であるか,あるいは,翻訳モデルが出力した訳文中の用語や修飾関係が適切であるかを判定するために,WWW上の検索エンジンを用いて,そのような用語が実際にどのような文脈でどの程度使用されているのかを検証する,そして,この検証結果に基づいて,翻訳モデルによる原文解析結果,あるいは,翻訳モデルが出力した訳文の信頼性を判定する.また,構文構造の解析結果についても,そこから得られる用語間の修飾関係の妥当性を判定するために,WWW上の検索エンジンを用いる.ここでも,WWW上の検索エンジンを用いて,訳文中の用語や修飾関係が適切であるか否かを判定する. さらに本年度は,訳文中の用語が適切でない場合に,WWW上の検索エンジンを用いて適切な訳語を推定する手法を開発した.特に,評価実験においては,その用語と同一分野の関連語を効果的に利用するという戦略が有効であることを示した.
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