2004 Fiscal Year Annual Research Report
リスク細分型保険のためのロバスト回帰分析に関する研究
Project/Area Number |
16700258
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
竹内 一郎 三重大学, 工学部, 助手 (40335146)
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Keywords | リスク細分型保険 / 保険数学 / ロバスト統計 / 回帰分析 / 分位点回帰分析 / 機械学習 |
Research Abstract |
1998年の保険料自由化以来,顧客のリスクを細分化した「リスク細分型保険」市場が拡大しているリスク細分化により保険料設定のための統計モデルは複雑化し,理論/実践の両面から研究が必要となっている.本研究ではリスク細分型保険料設定問題を回帰分析の枠組で捉え,その統計モデルと推定量に関する考察を行った. 保険料は過去の支払保険金額に基づいて設定される.支払保険金額の分布は極度に非対称で裾の長い分布となっているため,最小二乗推定量や最尤推定量などの既存の推定量は不安定となってしまう.また,非対称な分布のもとでは、ロバスト推定量もバイアスを持つため利用できない.本研究では分位点回帰(Quantile Regression)を用いた多段階推定量を提案した.提案した推定量を,線形モデル,加法モデル,決定木などの統計モデルや,ニューラルネットワーク,サポートベクトルマシンなどの機械学習モデルに適用した.これらを人工データやベンチマークデータに対してシミュレーションを行い性能の検証を行った. 本研究により,支払保険金額のような非対称なデータに対する新しい回帰推定量が構築された.その理論的性質が明らかにされ,既存の推定量よりもロバスト性の観点からより高性能を示すことが確認された.また、北米の自動車保険データに適用した結果,既存の方法よりも予測精度の向上がみられた.本研究の成果を国際会議4件国内会議2件,その他のセミナー発表等2件にて発表した.特に,本年度統計関連学会全国大会の「統計学と保険」セッションならびに日本保険年金リスク学会全国大会では,損害保険各社の保険数理士とディスカッション等を行い,本研究成果を実用化するための課題を検討した.
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Research Products
(4 results)